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「肉筆と幻の本で読む永井荷風展」

 東京、水道橋にある、日本大学法学部図書館で、「肉筆と幻の本で読む永井荷風展」を開催中である。
 日本大学図書館は、永井荷風文庫を所蔵しており、その一部を今回、展示している。
 今回の目玉は、何と言っても発禁になった「ふらんす物語」。

 川本三郎さんは書いている。

 荷風の『ふらんす物語』は、明治四十二年(一九〇九)三月に、大手出版社の博文館から出版される予定にあった。明治時代、現在のような思想、言論の自由はない。明治二十六年に成立した出版法によって、出版物はすべて内務省に納本し、検閲を受けなければならなかった。国家権力にとって都合の悪い本は、発売禁止の処分を受けた。
 『ふらんす物語』は、この処分を受けてしまった。しかも、通常は、本が書店に出てから数日たってから禁止処分が出るのに、『ふらんす物語』は、印刷か終わり、製本にかかろうとした段階で、発禁本になった。異例のことである。森鷗外の『ヰタ・セクスアリス』(明治四十二年)でさえ、発売禁止になったのは発売後三週間たってからだった。
 製本前に発禁になる。きわめて厳しい処分である。結果、この『ふらんす物語』は超がつく稀覯本となった。現在、世にあるのは十数冊と言われている。

 川本三郎「発禁本(初版)『ふらんす物語』の行方」(「老いの荷風」)

 このほかにも、荷風の書簡や葉書が展示されている。
 図書館の一角で開催されている小さな展覧会だが、荷風に興味がある方はぜひ。
 予約不要。入館無料。

 私の小説『郵便小説 ぴむぽむ 空豆少女』収録の荷風をモデルにした「我風」も、ちらりと展示されている。荷風が140歳になっても生きていて、コロナに罹患するという話です。

YouTube動画も公開されている。              

期  間 令和6年9月19日(木)~ 令和6年11月11日(月)
展示時間 10時~18時(日曜開館日は10時~17時)
場  所 日本大学図書館法学部分館1階展示ギャラリー
     東京都千代田区神田三崎町2-3-1
主  催 日本大学図書館
後  援 千代田区
入館無料 予約不要

写真撮影可。



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緒 真坂 itoguchi masaka
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