小腸がんと私 15
胃と腸を繋ぐバイパス手術を近々に控え
また色々なことに思いを巡らせていました
毎日、部屋には
緩和ケアの看護師さんが2人
それぞれの役割を遂行するために
来てくださってました
1人は、ただひたすらに
話を聞いてくださる人でした
話を聞いてもらっても
何も解決はしないのですが
人に伝えようとすることで
頭を整理しながら
口に出して自分の言葉を自分で聞くことで
自分がどう考えているのかの道筋ができる
手助けにはなっていました
その人は特に私の話に対して
解決しようとするのではなく
いつも中立の意見を仰るだけでした
何でも話せるので
ありがたい存在ではありましたが
その時の私としては
自分の気持ちを解決してほしい
大丈夫だよ!そんなことないよ!
って言ってほしいと願って口に出した事も
ただ同調してくれるだけで
建設的な言葉は何も返ってこないことに
少しモヤモヤというか
そんな気持ちも抱えていました
励ます事もしない
否定もしない
何もしない
緩和ケアってこういうものなのかなぁと
漠然と感じていました
確かにお仕事上、
癌患者を相手に思ったことを言って
失言してしまうわけにいかないでしょうから
マニュアルのようなものに沿った
聞き役をしてくださっていたのだと思います
もう1人の緩和ケア看護師の人は
話を聴きながら
手のマッサージをしてくださる人でした
その人はいつも「死生観」を語る人で
私が
また飛行機に乗って海外とかいきたいな
と言った時には
「来世で行けばいいよ!」
と仰るような人でした
一瞬救われるような気もしますが
でもよく考えれば
「治療してるのに…」と思わされるというか
嘘でもいいしその場限りでもいいから
「行けるといいね、治療頑張ろう」と
どうして言ってくれないのだろうなぁと
全体的に病院の雰囲気にも
疑問を持ったものでした
またある日には
「息子さんには話したの?」と聞かれたので
だいたいは話してますが詳しくはまだ…
と答えると
「きちんと話して残りの時間を慈しんだほうが
いいと思うな」と仰いました
またもや
「治療してるのに…」と絶望し
やっぱり自分は治らないんだなぁ
それを受け入れさせようとしてるのかな
と感じて
一生懸命、
自分はもう行く先少ないんだ
早く覚悟を決めた方がいいんだ
と思うようにしてみたり
でもやっぱり
じゃなんのために治療するの?
手術は何のため?
と疑問と焦りで
緩和ケアってなんなの…と
毎日、感じていました
私だって大人だしバカじゃないので
あの時大丈夫って言いましたよねぇ!とか
そんなことないよって言ってくれましたよねぇ!
みたいに食いついたりしないのにな
どうして今この瞬間だけでも
楽な気持ちにさせてくれるような言葉を
言ってくれなかったのだろうなぁと
未だに思い出します
そのお2人には
大きく助けられた日もありましたが
辛い治療と向き合うのに
どこへ向かって気持ちを立てると良いのか
見失う事も多かったです
癌の患者に対してなので
おそらく色々とマニュアルがあって
きっとその時の1番良い方法で
向き合ってくださっていたのだろう…
とは思っています