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小腸がんと私 12

6歳下の妹がいます

妹の方が姉に見えるほど
とてもしっかりした人で

病気になってからは
本当に妹の存在がありがたく、

この人なしではもう生きていけない
と思うほどです

けれども妹と私は真反対のタイプで

病気をきっかけに
私はより、自分をよく知ることになりました

妹は私を元気付けるために
いつもこう言っていました

もっとぎゃんぎゃん泣けばいいのに

私は顔が変わるほど泣いていましたが
いつも1人で堪えるように泣いていました

人目も憚らずにもっと
狂ったように泣いて普通なのに
お姉ちゃんは泣かなすぎる


妹はこう言いますが
泣いたって状況は変わらないし
私は答えが欲しいの
どう考えればいいのか、教えて

いつもこう言っていました


妹自身は

「もし自分がお姉ちゃんだったら
耐えきれずに東尋坊に身を投げるかもしれないな
頑張れとか絶対言われたくない
そうやって正しく励まされても
そんなこと分かってるって思うだけ
世の中にはそう言う人が多いからこそ
頑張っている人に「頑張れ」
というのがタブーとされているんじゃないかな
今のお姉ちゃんみたいに
どうにかして向き合おうとする人って
少ないと思う
こんな悲劇のヒロインみたいな
まるでドラマみたいなこの状況で
打ちのめされずに立ち向かおうとするのって
ほんとスゴイと思う
お姉ちゃんは強い、自分の意思で立とうとしてる
だから、頑張れって言って欲しいんだね」

妹が自分の分析をしながら
私の分析をしてくれたこの日、

私は、なるほど本当にその通りだ
と感じました

そう、私は「頑張れ!」って言って欲しい

みんな気を遣って言わない言葉
「頑張れ」 

私は言われたい、励まされたい

今から思うと
看護師さんや主治医に
一番言って欲しかった言葉は

「伊藤さん、頑張って!
先のことは分からないよ!」

こう言ってもらえてたら
どんなに楽になれただろうと思います

誰1人として、
言ってくれませんでしたが…

きっと病院内では余計に禁句かもしれません
「頑張れ」という言葉

でも私のように
すごく言って欲しい患者もいると
知って欲しい気もします




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