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壱宍 (若槻きいろ)
2021年6月28日 07:53
風を撫でるように思い出の輪郭を辿った。今、頭の中には君と過ごした、吐き出した言葉たちが泳いでいる。ふたりの秘密。それを投げ掛けては、知らないふりして薄く跡を残している。同じ場所を、何度も何度も。ゆっくりと刻みつけて、深い溝になるように。言えない言葉の代わりに、目の前にない、君の輪郭に触れた。