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ブロッコリー、重要な野菜「指定野菜」に追加 指定野菜とは? 「マイナーな野菜」からメジャーな野菜へ急浮上

 農林水産省はブロッコリーを、新たに”指定野菜”に加えると発表した。

 農水省は、消費量が多く、国民にとって重要な野菜を、「指定野菜」として位置づけている。

  すでに、指定野菜にはキャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、たまねぎ、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ばれいしょ、ピーマン、ほうれんそう、レタスの14品目が指定されているが、2026年から新たにブロッコリーを指定野菜に加える。

   指定野菜のへ追加は、ばれいしょ(ジャガイモ)の1974年以来のこと。

  多くの野菜の出荷量が減少する中、ブロッコリーは10年で出荷量が3割近く増加。

  22年の出荷量は15万7100トンで、12年の12万2500トンから3割増。89年の7万7千トンからは倍増している。ブロッコリーは北海道、埼玉、愛知、徳島、香川、長崎などが主な産地だ。

  指定野菜になると、生産者は価格が下がっても手厚い補助金を受けることができる。

  ブロッコリーは現在、指定野菜に準じる「特定野菜」(35品目)。農水省の担当者は「他の指定野菜に比べ、生産量も遜色がない」(1)としてこの度「昇格」を決めた。政令などを改正し、26年度から対象とする。

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指定野菜とは?


 「指定野菜」とは、1966年に制定された「野菜生産出荷安定法」に基づいて、特に消費量が多い野菜とその栽培が行われる主要な産地を国が指定する制度。

  この制度では、指定された産地からの野菜出荷の半分以上を特定の消費地域へと出荷する義務が課されている。また、市場価格が大きく下落した際には、産地に対して補助金が支給される「野菜指定産地制度」も存在(2)。

  この制度は、野菜の価格が天候に左右されやすく、市場供給が不安定になりがちであることから、安定供給を目指して設けられた。

  現在、14種類の野菜が「指定野菜」とされ、2019年5月7日時点で893の産地が指定されている。

葉茎菜類:キャベツ、ほうれん草、レタス、ネギ、玉ねぎ、白菜
果菜類:きゅうり、ナス、トマト、ピーマン
根菜類:大根、ニンジン、里芋、ジャガイモ(ばれいしょ)

  また、指定野菜とは別に、「特定野菜」というカテゴリーも存在。これは指定野菜と同様に重要とされる野菜で、ブロッコリー(26年に指定野菜に追加)やチンゲンサイ、かぼちゃなど35品目が含まれている。

なぜ指定野菜に?


 ブロッコリーが指定野菜に追加される理由は、他の野菜と比較してブロッコリーの集荷量と消費量が特に増えているからだ。

  農水省によれば、2021年のブロッコリーの出荷量は15万5,500トンで、2001年の7万5,500トンから約2倍に増えた。主要な生産地は北海道、埼玉県、愛知県、香川県など。

  農水省の「令和4年産指定野菜及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量」によれば、2022年の指定野菜の作付面積は合計15万2,500ヘクタール、出荷量は610.5万トン。

  指定野菜の中で作付面積が最も多いのは、ばれいしょ(ジャガイモ)で7万1,400ヘクタール、次いでキャベツの3万3,900ヘクタール、だいこんの2万8,100ヘクタールとつづく。

  そして2026年に指定野菜として認定されるブロッコリーの作付面積は1万7,200ヘクタールであり、すでに指定野菜であるにんじん(1万6,500ヘクタール)を上回っている(3)。

  指定野菜に追加されると、農水省の「指定野菜価格安定対策事業」により、価格が下落した際に生産者に対して補給金が交付される仕組みになる。

長らく「マイナーな野菜に」

 

 ブロッコリーはキャベツやカリフラワーと同じアブラナ科に属し、原産地はヨーロッパの地中海沿岸と考えられている。ローマ帝国時代から栽培され始め、中世にはヨーロッパ全土に広まった(4)。

  しかし、キャベツやカリフラワーに比べると長い間マイナーな野菜であり、あまり注目されることはなかった

  ブロッコリーが日本に導入されたのは明治時代というは、当時はそれほど食べられていなかった。本格的に食卓に上るようになったのは、緑黄色野菜への関心が高まった1980年頃からだという。

  その後、国内の各地域でブロッコリーの生産地形成が進められましたが、1990年代半ばから2000年代初頭にかけてアメリカからの輸入が増えたことで、一時的に国内の生産量は減少。

 しかし、2000年以降、北海道を筆頭に作付け面積が年々拡大し、国内の生産が復活。

  ブロッコリーはキャベツの仲間ではあるが、食べる部分は葉ではなく「花蕾」と呼ばれる花のつぼみ。

 そのため、輸送中に開花しないよう低温を保つ必要があるが、各産地で適切な設備を整え、氷詰めにして出荷するなどの工夫をする必要がある(5)。

  それらのことを経て、国産ブロッコリーの品質は向上していった。


(1)加藤裕則「ブロッコリーが「指定野菜」に昇格へ ジャガイモ以来、約半世紀ぶり」朝日新聞デジタル、2024年1月22日、https://digital.asahi.com/articles/ASS1Q6QX3S1QULFA021.html

(2)百田胡桃「指定野菜とは? 「野菜指定産地制度」の概要と課題を農家目線で解説!」minorasu、2022年1月28日、https://minorasu.basf.co.jp/80369

(3) 人・企業・自治体を応援するメディア「リプラス」「指定野菜とは?栽培メリットや注意点、ブロッコリー追加の理由を紹介」2024年3月28日、ttps://shizenenergy.net/re-plus/column/agriculture/designated_vegetable/

(4)サカタのタネ「Episode 05 ブロッコリー」
https://corporate.sakataseed.co.jp/100th/episode/05/

(5)SMART AGRI「ブロッコリーが「指定野菜」になった理由とは? 生産者や消費者への影響」2024年3月1日、https://smartagri-jp.com/agriculture/8481

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