2022年のマイベストゲーム Top5
2016年から続けている年末企画、僕が今年プレイしたゲームの中から、5本のベストゲームを選びます!
2022年の僕にとって最も大きかったトピックは、なんといってもフリーライターとしてIGN Japan様に記事を寄稿し、動画出演までさせていただいたことでしょう。
IGN Japanは普段から愛読しているメディアでしたので、そこに自分の記事が載るなんて、本当に感激でした!また、「しゃべりすぎGAMER」の出演では、憧れのクラベ氏や渡邉卓也氏とお話しできて光栄でした。
そんな感じで今年は、ゲームプレイだけでなくそれ以外も大充実の1年でしたが、この記事ではそんな1年の僕のベストゲームをまとめようと思います。毎年恒例ですが、本記事のお約束を以下に示します。
ELDEN RING 〜AAAであることと「作家性」の両立~
全世界で1,750万本以上を売り上げ、The Game Awards 2022でgame of the year (GOTY)に選ばれた本作は、間違いなく2022年を代表する1本でしょう。
僕自身も、発売日にPS5版を入手し、裏ボスである「ミケラの刃、マレニア」の撃破に至るまでの旅路を存分に楽しみました。(「写し身の雫の遺灰」に頼りまくりましたが…笑)
本作ですが、「AAA大作」であることと「ディレクターである宮崎英高氏の強い作家性」が両立した、世界的にも珍しいタイプの作品だと思います。
普通、本作のようなAAA大作だと、ディレクターの作家性(すなわち、いびつさも含めた個性)が表面に現れることは稀です。(数少ない例外の一つは、『DEATH STRANDING』に代表される小島秀夫監督作品でしょう。)
また、現実問題として、1人の人間が細かいところまでディレクションして、自身の意思を反映させることは困難です。実際、本作も、宮崎氏単独ではなく、谷村氏・石崎氏との共同ディレクションであることが明言されています(The Game Awards 2022におけるBest Game Direction受賞時のスピーチより)。
にも関わらず、プレイした人誰もが「これは宮崎氏の作品だ」という、強い作家性を感じられるというのは、興味深いことです。
この点ですが、ゲーム内の多様な要素の中で、「テキスト」についてはできるだけ他人に任せずに、宮崎氏が自ら手がけたこと(雑誌「SWITCH」2022年3月号のインタビューより)が、影響していると思います。
我々ゲーマーは、『DARK SOULS』シリーズなどの過去作品によって、宮崎氏の特徴的なテキストの語り口や断片的なストーリーテリングの手法に慣れ親しんできました。そのため、本作についても「これは宮崎氏の作品だ」と容易に感じられたのだと考えます。
このように、規模の大きいオープンワールドAAA大作でありながら、自身の個性(作家性)が作品の表面に現れるように努力を払ったことが、本作を他のどの作品にも似ていない「傑作」たらしめたと考えています。
バイオハザード7 レジデント イービル(※VRモード)~PSVR2版「バイオ8」への期待が高まる~
2017年1月にリリースされた本作は、PlayStation VR(PSVR)の初期の目玉タイトルでした。僕は本作自体今までプレイしたことはなかったのですが、昨年『Déraciné』をプレイして、久々にVR熱が高まったこともあり、本作のVRモードに挑戦しました。
2017年当時の僕はとても怖がりで、本作の体験版(『KITCHEN』)すら開始10秒でやめてしまったくらいでした。でも、歳をとって良い感じに図太くなったのか(笑)、怖いと思いながらも、その恐怖をエンタメとして楽しみ、最後までプレイすることができました。
本作を通じて感じたのは、FPS(特に、本作のように少数の敵をじっくりと狙い撃つタイプのシューター)とVRの相性の良さです。
VRヘッドセットを装着した頭を動かして照準を動かす操作は、とても直感的で馴染みやすく感じました(むしろ、VRでない普通のFPSをプレイする時も、右スティックの代わりに首をクイクイ動かすようになってしまったくらいです 笑)。また、廊下を恐る恐る覗き込んだら、ジャック(ファミパンおじさん)がこちらに歩いてくるのを見つけた時の恐怖は、VRでしか味わえないものでした。
本作を存分に楽しんだことで、僕は来年リリース予定のPlayStation VR2(PSVR2)版『バイオハザード ヴィレッジ(バイオ8)』がとても楽しみになりました。
今回プレイした「バイオ7」のグラフィックは、2017年当時は実写としか思えませんでしたが、さすがに今プレイすると粗が見える部分もあります。「バイオ8」のPSVR2版では、新たなハードの力で、さらにリアリティのあるVR「バイオ」体験ができそうで、とても期待しています。
ディスコ エリジウム 〜普通の企画では到達しえない「狂気」~
当初の僕は、本作のオリジナル版の極めて高い評価を知ってはいたものの、本作にはそれほど興味を持っていませんでした。本作のPS5パッケージ版を発売日に購入しましたが、それは、極めて困難だっただろう日本語ローカライズを実現したスパイク・チュンソフトへのお布施の意味合いが強いものでした。
しかし、本作をプレイして、僕は本作の凄まじさに圧倒されました。クリアした今は、この作品に出会って本当に良かったと感じています。
では、本作の何が凄まじかったかというと、それは常識を遥かに超える量の「設定」が、小さなゲーム舞台に詰め込まれていることで生じる「濃密さ」です。
本作に用意されている舞台そのものは極めてミニマムです。主人公が行動できるのはある街のわずか1街区の範囲に過ぎず、開幕から終幕までに経過する時間もゲーム内で1週間に過ぎません。メインのプロットは、警察官である主人公がある殺人事件の捜査を行うというものですが、その真相自体には、そこまでの意外性はありません。
しかし、ゲームの舞台である「エリジウム世界」には、過去8,000年にわたる複雑な歴史が綿密に設定されていて、主人公がNPCたちと交わす会話の全てにそれが反映されています。酒に溺れ全ての記憶を失って目覚めた主人公と一体となって、プレイヤーは、そういった会話を通じて「エリジウム世界」に触れ、この世界のことを知ってゆきます。
そうすると、ゲーム中で行動できるのはわずか一街区の範囲であっても、その外側には広大な世界が広がっていて、その世界が確かに存在していることを、実在感を持って感じられるのです。
本作のこのような作り込みは、「売れるゲームを作ろう」とか「面白いゲームを作りたい」といった普通の企画からは産まれ得ない、ほとんど狂気的なものだと感じました。
本作の「エリジウム世界」の膨大な設定は、本作の主要開発者であるRobert Kurvitz氏が、友人たちとテーブルトークRPGをプレイしながら、練り上げていったものだそうです。冬はマイナス22度にもなる厳しいエストニアの環境の中で、自身の貧しく不運な境遇や鬱屈した感情が反映されています。
そんな環境の中で、何とか自己表現をしたい、何者かになりたい、という切実な感情に突き動かされて作られたからこそ、本作が成立したのだと感じました。
本作は、爽快感があったり楽しい気分にさせてくれるような、いわゆる「面白い」ゲームではないです。でも、プレイ後は自分が見る世界が少し違って見える、良質な小説のようなゲームだったといえます。
Immortality 〜Sam Barlow氏の新たな代表作~
「ビデオゲーム」としての面白さは別として、今年プレイしたゲームの中で、最も強く印象付けられたのは本作『Immortality』でした。
本作については、以前、僕自身のレビュー記事を書いたことがありましたので、ここでは、この記事のポイントをかいつまんでご紹介します。
本作は、製作者であるSam Barlow氏の新たな代表作になったと思いますし、氏の出世作である『Her Story』に匹敵する傑作だと感じています。
その理由ですが、「間口は広く、奥は深く」作られており、Barlow氏のファンというわけではない普通のプレイヤーでも(ひとまずエンディングを迎える中盤辺りまでは)楽しんでプレイできるように工夫されているためです。
本作には、「本作全体に隠された謎を解き明かす」「本作の深遠なテーマを理解する」という、過去作作同様の「長期的な」目的の他にも「中期的」「短期的」な目的が設定されており、プレイヤーを誘導してくれます。
「中期的な目的」とは、「徐々にアンロックされてゆく映像断片をつなぎ合わせて、本作に含まれる3本の映画を復元すること」、そして「短期的な目的」とは、「それぞれの映像断片に仕込まれていることがある隠し映像を探す」ことです。
「3本の映画を復元する」という中期的な目的があることで、プレイヤーが何をすればよいか途方に暮れることを避けていますし、「隠し映像を探す」という短期的な目的は、普通のビデオゲームに近い「攻略要素」を提供しています。
このように、本作は、従来作以上に多くの人が遊びやすく工夫された作品だと思います。Xbox Game PassやNetflixゲームにも収録されていてアクセスしやすい状態ですので、多くの人にオススメしたいです。
Poinpy 〜現代では貴重な「古き良き」インディゲーム~
本作を開発したもっぴん(麓旺二郎)氏の過去作『Downwell』は、僕にとって、一番好きなインディゲームの一つです。「下に降りてゆく」という分かりやすいゲームデザイン、極限まで要素を削ぎ落とした明快なグラフィック、上達欲を掻き立てられるシビアなゲーム性、どれをとっても完璧だと思います。
ただ一方で、『Downwell』のスマホ版に関しては、基本的に画面上のバーチャルキーパッドでの操作となるため、シビアな操作との食い合わせがあまり良くなかったとも思います(縦長画面との相性は最高なのですが)。
今回の『Poinpy』ですが、そういった『Downwell』の課題が解決され、スマホゲームとして完璧に最適化されています。「ひっぱって離す」という操作は古典的ながら直感的ですし、行き先を狙っている間は時間経過がゆっくりになるので、『Downwell』のように訳もわからず死んでしまう、ということもありません。
ゲームそのものに関しても、「上に上がってゆく」という分かりやすいゲームデザイン(『Downwell』と逆ですね)、可愛らしいグラフィック、自身の技量がきちんと結果に反映される明確さ、といった感じで、完璧だと思います。
そんなわけで、僕は本作を『Downwell』をも凌ぐ傑作だと思っているのですが、残念ながら世の中ではさほどの評価を得られていないようです。
その理由ですが、「Netflix加入者限定でプレイ可能な人が少ない」というのは大きいと思いますが、本作が、最近は珍しくなった「古き良き」インディゲームであるということもあると考えています。
最近(ここ2〜3年)は、インディゲームといえど、グラフィック・音楽など全ての要素において、AAA作品に引けを取らない高品質が求められる様になってきました。The Game AwardsのBest Indie部門において、2021年は『Kena: Bridge of Spirits』、2022年は『Stray』と、いずれの年も高品質な美術を実現した作品が受賞したことが、そのことを表しています。
『Downwell』がリリースされた2015年当時はまだ、「才能ある個人開発者がワンアイディアで成功を掴み取る」というストーリーに説得力がありました。実際、『Downwell』は、2016年の「PlayStation® Awards 2016」における「インディーズ特別賞」を受賞するなど、それを裏付ける評価を獲得しました。
本作『Poinpy』もまさにこういった「1つのアイディアを研ぎ澄ました傑作」なのですが、現代のインディゲームの基準からすると、本作のアプローチはともすれば古くさく映ってしまい、評価されづらいのかもしれません。
そういった意味で僕は本作を「古き良き」インディゲームと称したのですが、本作の面白さは保証します。プレイ可能な環境にある方には、是非試していただきたいと思います。
付録:2022年にプレイしたゲームのリスト(全44本、うちクリア済み22本)
PlayStation:11本(うちクリア済み7本)
The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience(クリア)
バイオハザード7 レジデント イービル(PSVR)(クリア)
ASTRO BOT: RESCUE MISSION(PSVR)
Farpoint(PSVR)
ASTRO's PLAYROOM
AVICII INVECTOR(クリア)
ELDEN RING(クリア)
サルゲッチュ(※クラシックスカタログ)
Stray(クリア)
Moss(PSVR)(クリア)
ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット(クリア)
Xbox:14本(うちクリア済み6本)
クレイジータクシー(クリア)
タイタンフォール 2(クリア)
Microsoft Flight Simulator
RISE OF THE TOMB RAIDER
バイオハザード RE:2
エースコンバット7 スカイズ・アンノウン
Telling Lies(クリア)
Forza Horizon 5(クリア)
Unpacking アンパッキング(クリア)
Archvale
Exo One
太鼓の達人 The Drum Master!
DJMAX RESPECT V
IMMORTALITY(クリア)
Nintendo Switch:12本(うちクリア済み8本)
BRAVELY DEFAULT II(クリア)
ネコ・トモ スマイルましまし
星のカービィ ディスカバリー(クリア)
New ポケモンスナップ(クリア)
Return of the Obra Dinn(クリア)
ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド:リメイク(クリア)
リングフィット アドベンチャー
あつまれ どうぶつの森
Celeste(※チャプター8までクリア)(クリア)
スプラトゥーン2(クリア)
スプラトゥーン3(クリア)
Pokémon LEGENDS アルセウス
PC:6本(うちクリア済み1本)
Vampire Survivors
クロノ・トリガー
NiGHTS into dreams...
Refund Me If You Can
HADES
DEATH STRANDING(クリア)
モバイル:1本(うちクリア済み0本)
Poinpy