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PS5 / Xbox Series世代とは何だったのか?


はじめに

2020年11月にPS5とXbox Series X/Sが発売し、ビデオゲームの世代が現世代に移行してから、約3年が経ちました。

ビデオゲームの1世代が5〜7年続くことを考えると、「総括」してしまうにはまだ早い時期ですが、そろそろ「現世代ならではの特徴」は出揃ってきていると言えるでしょう。

それは、当初喧伝されていた「4Kの美麗なグラフィック」でしょうか?それともSSDによって実現される「高速なローディング」でしょうか?

決して間違いではないのですが、それらは従来の進化の延長線上にあり、ビデオゲームに「質的な変化」をもたらしたとは言えません。(余談ですが「ロードの高速化」が、PS5発売前に宣伝されていたような「実質的にロード時間が無くなる」レベルであればそれは質的な変化と言えたのですが、さすがに現状は、そのレベルには到達していません)

それでは現世代で生じた質的な変化とはなんでしょうか?それはあらゆるものが「シームレス」になったことだと思います。今回はその話をします。

現世代の特徴、それは「シームレス」であること

前世代までの歴史の振り返り

振り返ると、前世代(PS4 / Xbox One)までは、たとえ同一タイトルだったとしても、そのゲームプレイは、様々な点で「互いに分断されている」ことが当たり前でした。

前世代機向けのタイトルが次世代機にリマスターされたとしても、基本的には買い直す必要がありましたし、セーブデータを移行する手段もありませんでした。また、据え置き機と携帯機のラインナップは完全に異なっており、据え置き機のタイトルを外に持ち出して遊ぶこともできませんでした。

(※Steam等のPCゲームであれば、PCの世代が変わっても同一のゲームをインストール可能です。また、CSにおいても数少ない例外として、PS3 / PSP期に展開された「PSP Remaster」シリーズがあります。例えば『モンスターハンター ポータブル 3rd』などは、セーブデータを共有して同一タイトルをPS3とPSPの両方で遊ぶことができました。)

このように様々な点で「分断されている」ことが当たり前だった時代と比較すると、今世代は逆に、様々な点で「シームレス」になってきたということができます。本記事では3つのポイントから分析します。

ポイント1:「シームレスな」世代間移行

これが一番わかりやすいと思います。

Xboxでは、ソフトのXbox One版・Xbox Series X版・Xbox Series S版は同一商品であり、どれかひとつ購入すれば、所有プラットフォーム向けのものが自動的にインストールされます。

Xbox Smart Deliveryの説明書き(公式サイトより引用)

また、Xboxほどのシームレスさではありませんが、プレイステーション(PS)においても、PS4版からPS5版へのアップグレードパスが用意されています。一部のタイトルは、100円〜1000円程度の少額でアップグレードすることが可能です。

このように、購入したゲームをスムーズに世代間移行できるようになったこと、これが一つ目のポイントです。

ポイント2:据え置き機-携帯機の「シームレスな」切り替え

据え置き機と携帯機のシームレスな切り替えというコンセプトを最初に実現したのは、2017年に発売されたNintendo Switchでした。

最近では、ほかのプラットフォームにおいても、Nintendo Switchのように据え置き機と携帯機をシームレスに行き来できる手段が提供され始めています。

PSでは、2023年に『PlayStation Portal リモートプレーヤー』が発売され、自身が所有するPS5にリモート接続することで、まるで携帯ゲーム機のようにPS5のゲームをプレイできるようになりました。

『PlayStation Portal リモートプレーヤー』(公式サイトより引用)

Xboxでは、PSのような専用機は発売されていないものの、スマホを用いたリモートプレイに対応しています。さらに、Xboxコンソールを所有していなくても、『Xbox Cloud Gaming』によって、Xbox Game Passの提供タイトルをクラウドストリーミングでプレイ可能です。

PCゲーミングにおいても、Steam DeckやROG Allyといった携帯型ゲーミングPCの人気の高まりが、本トレンドを後押ししています。セーブデータがクラウド上で同期されることで、自宅ではゲーミングPC、外出時はポータブル機という使い分けが可能になっています。

このように、2017年のNintendo Switchによって提案されたトレンドが他のプラットフォームにも波及し、一般的になってきた、というのが本世代の2つ目のポイントと言えます。

ポイント3:プラットフォームを跨いだ「シームレスな」プレイ継続の実現

今世代では、異なるプラットフォームを跨いで同一のゲームを継続してプレイすることも、一部タイトルで実現されてきています。

『原神』や『崩壊: スターレイル』が代表例ですが、スマホゲームにおいては、モバイル版だけでなくPC版やPS5版も併せて提供されるものが増えてきています。

『崩壊: スターレイル』

これらのタイトルでは、「セーブデータの同期」などというややこしいことをプレイヤー側が一切気にする必要なく、会話単位の詳細なレベルで進行状況がサーバーに保存されています。そして、どのプラットフォームからでも続きを遊ぶことができるのです。

ほかにも、XboxとPCの間では、プラットフォームを跨いだシームレスなプレイが実現されています。Xbox Game PassとPC Game Passの両方で提供されているタイトルでは、セーブデータが自動同期され、どちらのプラットフォームでプレイしても、続きから遊ぶことができます。

(※ 僕は、ROG Allyを手に入れて以降、この機能の恩恵を大きく受けました。『Starfield』を遊ぶ時、リビングのXboxと寝室の枕元のROG Ally、どちらでもプレイを進行できるので、細切れ時間を有効活用できました)

『ROG Ally』

このように、据え置き機と携帯機の間だけでなく、異なるプラットフォームの間でもシームレスにゲームプレイを継続できるようになったこと、これこそが本世代の3つ目のポイントだと考えます。

まとめ

本記事では、「シームレス」という言葉をキーワードにして、PS5 / Xbox Seriesが発売されて以降、つまり2020年移行3年間の特徴をまとめました

本記事で指摘した3つのポイントを総合すると、「PC・据え置き機・携帯機を含め、どんなプラットフォーム、どんな環境でも同一のゲームをプレイ可能になった」とまとめることができそうです。

今世代の後半戦である2024年以降は、一部のプラットフォーム独占タイトル以外は、「プラットフォームの違い」が意味をなさなくなる時代がやってくるのかもしれません。そのような時代において、各陣営がどのような戦略をとるのか、興味は尽きません。

「一部の独占タイトル」というと、そのようなタイトルを有する代表格である任天堂の動向も気になるところです。今年にも登場することが噂されている「Nintendo Switch 次世代機」がどのようなものになるのか、それによっても、今世代の後半戦の様相は変化するかもしれません。

今年もゲーム業界の動向を楽しみにしつつ、そして、当然ながら自分自身のゲームプレイも楽しんで過ごしたいと思います。

2024.1.29 Itaru Otomaru

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