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コメントに使えるフレーム - RSSI
10数年前に会社の教育プログラムの抜本的な見直しを行った際に、私は実にさまざまな教育ベンダー(研修会社)と面談をしました。
多分30社以上は会って話を聞いたのではないかと思いますし、電話やメールでやり取りしたのを含めると50社以上あったかもしれません。
というのも、当時会社の中で研修や教育プログラムとしてどんなものを揃えるべきかについて色々と考えてゆく中で、幾つかの必須スキルと呼べるもののイメージを持ってはいたのですが、それで十分だろうかとか、やり方もベンダーや講師ごとに異なっているのでこの際だから勉強も兼ねてと思い、片っ端から声をかけたのでした。
「教育プログラムの抜本的な見直しをしているので、御社のプログラムについて説明を聞きたい」と声をかけると、これはチャンスと思うのでしょう、ものすごい数の研修会社が食いついてきます。…というかこれで返事してこないところはないでしょうね。
これが私にとっては実に良い経験になっており、お断りしていった研修会社には大変申し訳ない言い方ですが、ただで色々と勉強させてもらったなと思っています。
そんな中で、電話で話を聞いてお断りしたけれど、そこで聞いた話はなかなか面白かったなと思っているもので、コメントをつけるときに使えそうなスキルがありますので、ご紹介しますね。
背景
スキルの具体的な話をする前に、どうやってそれを聞き出したのかを含めて背景とお伝えしておきましょう。
「教育プログラムの抜本的な見直しをしているので、御社のプログラムについて説明を聞きたい」と色々なベンダーに声をかけると、どこで噂を聞きつけたのか声をかけていないところからも電話がかかってきます。
数が多くなってくると面倒臭いのですが、門前払いをして変な会社の評判を立てられても困るので、丁寧に何を提案したいのか一応一通り聞いてから、「ありがとう。その内容であればすでに他に数社声をかけていて、その中から決めることにしたんだ。またの機会にお願いするよ」と言ってお断りします。
その時は、英語のプレゼンテーション・スキル研修の売り込みで、このパターンに該当するものが5−6社ありました。
いい加減勘弁してもらいたいなと思っていた矢先に、あるベンダーから電話がかかってきました。
こんなやりとりが展開していました。
研修会社営業
「御社で英語でプレゼンテーションをする人たちのスキルアップをするのに非常に有効なプログラムを弊社は持っているので検討してもらいたいのですが」
私(企業担当者)
「英語のプレゼンテーションスキルは、すでに複数社から提案をもらっているのですが、御社のプログラムの特徴は?」
研修会社営業
「御社のニーズに合わせていくらでも作ることができます」
私(企業担当者)
「みなさんそう仰って出してくる提案は一緒なんですよ。他社と違うところとか持ち味のようなものはありますか?」
研修会社営業
「PREPというフレームワークをご存知ですか?それを使いこなせるようにトレーニングします。ビデオを撮りながら身につくまでやります」
私(企業担当者)
「PREP、すなわちPoint-Reason-Evidence-Pointの順番で話すやつですね?それは他のコースですでに教えていますし、それでは他と変わらないですよ。またの機会があったときにお願いします」
研修会社営業
「(慌てて)ちょっと待ってください。それではRSSIというフレームはご存知ですか?」
私(企業担当者)
「ん?なんですか、それ?」
当時は企業の研修担当者は、研修会社に丸投げするところが多かったのだと思います。
「管理職向けの英語のプレゼン研修、二十人前お願いします」
みたいな出前の注文みたいな感じで。
私のように中身を事前に吟味してからじゃないと注文しないような担当者はなかなか居なかったのでしょう。慌てて、その担当者はネタを言い始めました。
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RSSIとは
PREP同様、RSSIも英単語の頭文字をとっているわけなのですけれど、何の頭文字なのかを得意になって営業の人が教えてくれました。
「Relate - State - Support - Integrateのことです」
これだけで、なんとなくわかってしまった感じはあったのですけれど、ここから先は勉強のためだと思って、心の中でニヤニヤしながら
「…というと?」
と続けると、それぞれがどんなことなのかを簡単に教えてくれました。
Relateは「関連付ける」です。
これは言ってみれば導入部分です。
例えば、同じ案件についての2度目のプレゼンとなる場合であれば、前回話したことや、これまでの経緯と今回の内容を関連づけて話をスタートさせるとか。
あるいは、今回の経緯がいったいどこから来ているのかの経緯を説明するのがこのパートになります。バックグラウンド情報という言い方をしても良いかもしれません。
Stateは「意見を述べる」です。
経緯を踏まえ、自分の意見や考えを述べるのがこのパートです。
自分の主張を端的にわかりやすく説明します。ここはPREPで言うところの最初のP(Point=論点)と同じと考えて良さそうです。
Supportは「意見を支持するものを提示する」です。
ここはPREPで言うところのR(Reason=理由)とE(Evidence=根拠)の二つが一つになっています。
Reasonの部分はその前のパートで語っている場合もありますので、こちらでは自分の意見の下支えとなっているデータであったり、具体例であったり、他者の意見を持ち込んでくることになります。
Integrateは「統合する」です。
このパートは一言で言えば、まとめです。
経緯から始まって自分の意見、そしてそれをサポートするものを繋げて話をしてゆき、その次のステップ、例えば具体的なアクションや聞き手への依頼事項、あるいは話を単にクロージングしてゆきます。
これを聞いての最初の感想は、「大してPREPと変わらないじゃないか」でした。
ですが、後になって、これはプレゼンとは別の場面で使えるフレームでもあると言うことに気づきました。
RSSIでコメントする
少し前にコメントのつけ方というnoteを書かせていただきました。
以下のものです。
この中で私は、自分自身が限られた時間の中でどのようにコメントを書いてゆくのかについて書かせていただきました。
その後半にコメントの流れとして、以下の大まかな流れを書いています。
1)テーマや課題に対する問いを短時間で設計する
2)人の話を聞いて、その人が伝えたいポイントを整理する
3)話を聞きながら、自分の考えを出してゆく
4)話された内容と自分の考えを結合させて文章を作成する
上の流れの中で、2)がRelate、3)がStateとSupport、4)がIntegrateになっているのだと気づかれたでしょうか。
3)については、自分の意見を書く(State)だけではなく、抽象的な内容と具体化したり、具体的なものを抽象化したり(Support)しているので、最後に統合ができると言うことでもあるのかなと思います。
Supportについては、自分の意見や考えもとになっているものを引用することもできるでしょうし、具体的な体験談を入れるやり方もあると思います。
意見にその人らしさを加えているのがSupportの部分でもあるかもしれませんね。
こうやってnoteにまとめているうちに、コメント以外でもRSSIは日常会話の中でも活用できる余地が多いとも思えてきました。
唐突に何かの意見を言うよりも、相手にとって関連のある何かに繋げて話したほうが相手は受け取りやすいものだと思います。
PREPとRSSI。
相手や状況によって使い分けてみると言うのはいかがでしょうか?
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