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ノートの取り方を効果的に切り替えよう

学校で学んでいる時も、会社で仕事をしている時も、話を聞く時には必ずと言って良いほどメモを取るようにしています。
早く書こうとすると字が汚くて後で読めなくなるので、最近はパソコンでメモを取ることの方が私は多くなってきていますけれど、紙のノートにメモを取ることはさまざまな点で優れていると私は思っています。

それは、書きながら思考の整理ができることであり、相手から見ると真剣に聴いてくれているように見えることであり、手を動かしながら聴いてることで記憶に残りやすいことであったりします。

しかし、ノートの取り方には工夫が必要です。
特に講演会やワークショップなどで何かを学びに行く時、ノートの取り方は必要に応じて切り替える必要があるなと私は思っていますし、実際そのようにしています。
状況別に整理して説明しましょう。

配布物がある講演会や説明会

対話やディスカッションが発生しない一方的な講演や説明会では、大抵の場合に配布物があると思います。
最初に説明やプレゼンテーションや講義があって、最後に質疑応答ががあるようなものをイメージしてもらうと良いでしょう。

目的が聴衆への情報のインプットですので、会の構造としてはそのようになりますし、話者側も途中で質問を差し込まれるよりも、用意していたことをまず伝え、自分の主張を終えてから質問を受け付けてそれに対応しますね。
演者が学者や研究者だったりするとその傾向が強くなると思います。

このような場合、私はノートは取らず配布物にどんどん書き込んでゆきます。
書き込み方については二つのパターンがあります。

一つ目のパターンは、配布物に書かれていないことを演者が話したときで、どの部分に関連付けて何の話をしたのかを配布物に付け足してゆきます。
配布物には結論であったり、抽象的なことだけが書かれていることが多いので、具体例や結論に至った経緯を話している(これ、結構重要です)時はその部分を残しておいて後で読んだ時に納得できるようにしておきます。

もう一つ、演者や話者が重要だと思ってると思われる部分を丸で囲んだり、アンダーラインを引いてゆくのをやっています。
これのポイントは自分が大事だと思ったところではなく、話者の口調が変わったり、声が大きくなったりジェスチャーが入ったりと「熱がこもった」感じになってるように感じられたところをマークしてゆくということです。
後で振り返った時に、押さえておくべきポイントがビジュアルに目に飛び込んでくるようになります。

配布物がない場合は、この手は使えないので、重要な説明会や講演会だと思ったら事前に事務局に配布物があるかは確認しておいた方が良いですね。

配布物がない講演会

講演会によっては、配布物がなかったり、スライドを使っているのに撮影禁止がかかっていたり、録音が禁止されているケースがありますね。
このような場合は自分のノートが頼りになります。

こういう時に私が使うのは大判のポストイットです。
以下のものは常時ストックしています。

このポストイットノート、一般的なA5のノートよりも2回りくらい小さいのですが、聞き取ったことをメモしてゆくのにも携帯するにもちょうど良い大きさかなと思っています。

で、どのようにしているかというと…
まず、講演を聞いていて、気になった箇所や覚えておきたい箇所についてトピックごとにメモを取っては剥がして別のノートにペタペタ貼ってゆきます。
あまり長く書き込まずに、印象に残った点だけを書き込み、それに関わる周辺の情報となる「結論に至る経緯」や「具体的エピソード」はつけておきます。
そうですね、書いてもせいぜい100文字から150文字でしょうか。なので大判じゃなく一回り小さなポストイットでも良いかもしれません。

そして、大事なのはここからなのです。
講演が終わってから、ペタペタ貼っていたポストイットの一枚一枚を大きめのノートのど真ん中に貼ってゆきます。1ページに一枚、です。
そうしたら、ポストイットの周りに余白ができているはずなので、そこに講演を振り返って気づくこと、自分に取っての学び、どのように仕事や実生活に使うことができるのかを書き込んでゆきます。

これを講演が終わった日のうちに行っておくと、内容が記憶に残りやすいだけでなく、得た情報を学びに変えて翌日から活用することができます。
ビジュアル的にも、何が講演内容で、何が自分の思考なのかが分かりやすい形で残っているので、お勧めです。

このやり方を私は社会人の一年目から取り入れてやってきたのですが、全く知らない新たなことを学ぶ時にはとっても有効なのを実感しています。
余白はかなりあるので、後から得られた新しい知識をどんどん足してゆくことも可能ですので。

対話や議論におけるメモ

ここまでのお話は、やや一方的に話を聞いてメモを取る時のパターンでしたけれど、会議であったり対話形式の学びにおいてはメモをとりながらやりとりをする必要が出てきますので、メモのとり方も変わってきます。
すなわち相手の話を聴きながら考えるためのメモの取り方になります。

こんな時私は、ノートを横長に使います。
(これまでのパターンは全てノートは縦長に使っています)
そして、1ページを縦に三分割します。折り目をつける場合もありますが、線を引いてわけているケースの方が多いです。
これをやると、横長のノートの1ページに縦長の書き込みスペースが三つできている状態になりますよね。

私は右利きなので、相手の話を聞いている時は三分割の一番左の部分に相手の主張や伝えたいことを書き込んでゆきます。
主張に根拠や理由、背景や具体例やエピソードが入ることもあるので、必然的にこの部分はもっとも文字数が多くなります。

そして、そこにメモを取りながら、頭も同時に使っていて、相手の話を聴きながら、真ん中の部分にトピックやポイントに関する自分の考えや意見を書き込んでゆきます。
必要に応じて、左側にある相手の主張部分にマークやアンダーラインを入れてそこから矢印で真ん中に引っ張ってきて、「ここは自分はこう思う」と書いてゆきます。

そして右端の部分ですが、ここは相手に対する質問を書き出す場所になります。
質問といっても、相手に考えてもらうためのものなので「問い」と言った方が良いかもしれません。つまり、相手に対する質問でもありながら同時に自分に対する質問や問いかけにもなっているわけです。
ちょっと分かり難いかもしれませんので、具体例を出して説明しましょう。

例えば、相手の論点が「会社の理念(パーパス)について、マネジャーへの教育を強化すべきだ」というものであったとして、その理由や発見されている事実が一番左側に書き込まれてゆきます。
それを聴きながら「いやいや、全社員側に教育して下からマネジャーを突き上げる方が良いのでは」という反対意見が浮かんだとしたら、それを真ん中に書き込みます。その理由も書き込めるようであれば書いておくと良いでしょう。
そして、それをそのままぶつけると収拾のつかない議論になってしまうので、そうならないように「理念教育をする目的は何だろう」とか「理念浸透を最も早くやる方法は何だろう」などの相互の二つの意見が答えとなってくるような問いを書いてゆきます。

対話や議論の中では、主に右端に書かれていることだけを話すようにします。
それにより、お互いの主張を潰しあう形ではなく、共通の問いの上で共に話し合いながら答えを作ってゆくことが可能になります。
真ん中に書かれていることは、もし「あなたはどのように考えているのですか」と問われた時に「私は・・・とも思っています」とそれが絶対的に正しいと思っているわけではないような言い方がで伝えます。
あくまでも、こういう考え方もあるのではないか、的に出すイメージです。

このノートの取り方は、ディベートを学んだ時にヒントを得たものです。
ディベートにはフローシートというのが登場します。
ディベートは特定の議題(「東京都はプラスチックゴミの廃棄を有料にすべきである」とかの命題)において肯定側と否定側に分かれて議論を試合形式で行うものですが、その際に取るメモは、肯定側立論→否定側質疑→否定側立論→肯定側質疑…という風にメモを取り、このやり取りのメモから反駁の主張を組み立ててゆきます。

使えるなと思ったのは、相手の主張とそれに対する疑問、こちらの意見を分けて書いておくという考え方でした。
実際やってみると、こちらの主張や不明点が明らかになりますし、分からない点はこちらも分からないので調べることに繋がります。

また、このやり方が良いところは、相手の話を聞いている間は一所懸命にメモを取るので相手はすごく聞いてもらっている感じがあるでしょうし、こちらの相手の言ってることを聞き間違えるリスクが低くなります。
また、聞くことに徹するのを手を動かしながらやることで熱くなりすぎず冷静にものを考えることができるようになります。

個人的には、右端に書き込む「問い」をどのようにするのかに最も頭を使っているかなと思います。
喧嘩を売ってるような質問になってしまわないようにするためには、相手に対して考えることを促すとともに自分にとっても考える必要があるような問いにしておく必要があるのかな、というのが経験から感じていることです。
そんな問いになっていると、一緒に考えることができるわけです。まぁ、ここは訓練なのかもしれません。私もまだまだこの問いの練り方は修行中です。


講演などのメモ、対話や議論の時のメモについて私が実践していることと、思うところを書かせていただきました。
もちろん、この他にもいろいろなメモの取り方はあると思いますし、メモの取り方について書かれている本も世の中にはたくさん出てきています。

ただ、お伝えしたいのは、メモの取り方は一つではないこと。一つで全てを賄えるということはなかなかないこと、です。
そして、状況に応じて、いくつかのメモの取り方の使い分けをできるようにしておくことはビジネスパーソンにとってとても有効なスキルになってくるのではないかなと私は思っています。

最近はAIがメモとってくれたり、議事録を起こしてくれたりするようになってきていますね。でも、AIはあなたの中にある思考や議論を活性化するための問いをその場で出してくれるところまではまだ行っていないようです。
上手にメモを取ることができ、とったメモをうまく使いこなすことを全てのビジネスパーソンができれば、ミス・コミュニケーションも減って行くのかなと私は思います。

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