
【イタリア】クリスマスには欠かせないパネトーネの歴史
11月も下旬に入り、イタリアの街頭ではクリスマスイルミネーションも始まり、プレゼントの下見や準備なども始まってきています。
この時期に出回るのが『パネトーネ (PANETONE)』
クリスマスから新年にかけてイタリア中の家庭で食べられる季節もののひとつ。大きな木の幹のような形をしたフワフワ甘いパン生地には干しブドウやオレンジピールなどのドライフルーツが散りばめられているのが典型的です。

クリスマスそして新年のお祝いに欠かせないパネトーネの発祥地はミラノ。現在のパネトーネは1800年代にアンジェロ・モッタのアイディアだそうです。モッタ社のパネトーネは現在でも多くのスーパーマーケットで売られているので、見たことのある人もいるかもしれません。
しかしながらパネトーネの歴史自体は結構古く、昔は形も味もかなり今と違っていたようです。

パネトーネの起源は15世紀頃のミラノにあるようです。のことが初めて誕生秘話には様々な伝承があるようです。
スフォルツァ家の家庭教師ョルジョ・ヴァラグッサが1470年に書いた「チョッコの儀式」の中で最初にこの『甘いパン』の記述があるそうです。
当時、小麦粉はとても貴重なもので、パン屋は貴族用に約パン以外は年間を通して小麦粉を使用することを禁じられていたそうです。つまり、小麦粉を使ったパンというのは富裕層の貴重な特権だったのですが、ミラノのギルドではクリスマスは庶民も貴族と同じパンを食べるということを決めていたそうです。
このパンは「パン・デ・ショーリ(貴族のパン)」または「パン・デ・トン(私達のパン)」と呼ばれたそうですが、クリスマス期の貴族の館では、お祝いのために砂糖、バター、卵がたっぷり入った高級パンを食べていました。
貴族やギルドの上級役人などの家ではクリスマスに暖炉の近くに上に大きな木の丸太が置かれ、その家の主が使用人や庶民にこのパンをスライスして分け与え、その一部は年明けまで保存されました。これは新年も実り多い良い年であるようにという良い願いを込めたゲン担ぎの習慣だったようです。

16世紀になると正式にパネトーネのレシピが文献に記されます。さらに、17世紀には「クリスマスに用意される大きなパン」というパネトーネの定義が誕生しています。
これらは実際に残っているパネトーネに関する文献ですが、庶民生活とクリスマスの習慣に深く根付いているだけに、その誕生には多くの伝説(伝承)もあるようです。よく知られているものとしては
1.ミラノ宮廷説
ルドヴィコ・イル・モーロに仕える料理人が多くの貴族を招待した豪華なクリスマス・ランチを準備していたが、デザートがうっかりオーブンの中に忘れられ、焦てしまった。狼狽した料理人を見て、キッチンボーイのトニという少年が「今朝、残ってた小麦粉、バター、卵、ゆずの皮、レーズンを少し使って、このデザートを作たんです。他に何も解決策がないならこれをテーブルに持っていってください」と提案した。料理人はこれに同意し、震えながらカーテンの後ろで客の反応を覗き見した。皆誰もがデザートを絶賛し、公爵は料理人にこのデザートの名前を聞いた。料理人は「これはトニのおパンです(L'è l'pan de Tögn)」と答えた。それ以来、「パンデトン」=「パネットーネ」となった。
2.鷹匠とパン屋の娘のロマンス説
宮廷につかえる鷹匠のメッサー・ウリヴォ・デリ・アテッラーニはパン屋の美しい娘アルギサに恋をする。身分を隠して彼女の父親に雇われ、売り上げを増やすためにデザートを発明しようとしました。宮廷の鷹を売った金で購入した最高の小麦粉と、卵、バター、蜂蜜、干しブドウを混ぜ焼き上げたそのパンは大成功を収め、公爵から鷹を売ったことも、身分違いの結婚も許され二人は結婚し、幸せに暮らしました。
いつもクリスマスになると何気なく買っていたパネトーネですが、このように本当に多くの所説ある歴史豊なものなんだと思うとさらに美味しさが増しそうです。
最近ではチョコレート入りやピスタチオ、アーモンドなどが入ったものなどがあるのでクリスマスから年末年始まで色々なフレバーで楽しめます
この時期にイタリアに来られる方々、ひとつお土産にいかがでしょうか?
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