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イタリアの設計事務所で働いていたんだけど倒産した

突然だったけど、わかっていた倒産

2024年9月30日月曜日、15年間働いていた事務所が倒産しました。

コロナ禍以降、倒産のうわさはずっとありました。かつては18人いた中堅どころの店舗設計事務所も、9月には6人にまで減っていました。
次々と同僚たちが辞めていく中、私は好奇心から最後まで見届けたかったこと、そして転職する勇気がなかったことが理由で残り続けていました。

そしてついに9月27日金曜日の午後、「9月30日いっぱいで事務所が倒産する」と所長から報告されました。
「30日に倒産って、え、30日って月曜日!」と、残された時間の短さに驚きました。途中のプロジェクトはどうすればいいの?って、それはもう私の仕事じゃなくなるんだ。

倒産の理由は借金と正社員採用

倒産の理由は事務所の借金でした。
私の知っている範囲の話になりますが、コロナ禍で経営に打撃を受けたあと、ロシアのウクライナ侵攻でさらに状況が悪化してしまいました。というのも、ロシアに大きな顧客がいて、そこでのプロジェクトがすべて中止となり、支払いもなくなってしまったことが、事務所の大きな借金につながったそうです。

さらにもう一つ、従業員を正社員として雇用していたことも大きな負担となっていたようです。
実は、イタリアの建築やクリエイティブ系事務所で正社員を採用するのはとても珍しいことです。多くの事務所では、解雇がしやすい「partita IVA」という自営業者向けの免許を持つ人や、アルバイトを雇用することが一般的です。
所長が従業員の安定を考えて選んだ正社員雇用という選択が、結果的に事務所の経営を圧迫してしまったことが残念です。

失業後に発生した意外な作業に消耗する

さて、事務所が倒産し、失業したことで思いがけない作業が発生しました。
例えば、デスク周りにあった私物を自宅に持ち帰ったのですが、置く場所がなく、片付けやゴミ出しに時間を取られました。
また、彼の知人に失業を何度も経験しているエキスパートがいて、その人のアドバイスに振り回されてしまいました。その人と私の就業形態が違うため手続きが当てはまらず、ムダに書類の山を引っ張り出して作ってしまいました。これは私の彼が暴走してしまったのが原因ですが疲れたー。

ただ、一つ気持ちがスッキリした瞬間がありました。それは、目覚まし時計のアラームを削除したとき。これからゆっくり寝てもいいんだ、ヒャッホー!

「課金してでも使いたいプログラムは何?」の問いで、やりたいことを確信した

そして、自宅のパソコンを整理していて、本当にやりたいことが見えてきました。
課金してでも使いたいプログラム(Adobe系)が、私の得意分野であり強みだと。逆に、課金してまでは使いたくないプログラム(CAD系)に関しては、あまり積極的に取り組みたい気持ちにはなりません。でもきっと、CADの仕事があれば「喜んでやりまーす!わー、やっぱり楽しい!」ってなるとは思うんだけど。

幸い、正社員だったので給付金や失業手当が支給され、数ヶ月はそれを利用してゆっくり過ごすつもりです。この補償についても書きたいのですが、まだ手続きが始まったばかりなので、具体的な内容がわかり次第、また記したいと思います。
そして、今まで土日にしかできなかったことが、平日にもできるようになったのは本当にうれしいです。しばらくは自分を棚卸しして、ゆっくり過ごそう!

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