『初ヒット、引退マウンド』高校野球で人生観が変わった2つの出来事
高校入学と同時に、
一目散にグラウンドへ行き、入部を告げた。
兼ねてからの目標であった、高校野球。
入部から数日後、先輩に初めての坊主頭にしてもらい、改めて、自分がこの世界(高校野球)へ入ったのだと実感した。
ただ、中学時代は部活に所属していなかったのもあり、体力が全く付いていかず、授業中も疲れて寝る事が増えていた。
放課後が近付くにつれ憂鬱となり、気落ちの日々だった。監督さんは怖いし、練習はキツイ。大好きな野球が、嫌で嫌で胸が押し潰されかけていた最中、中学時代の恩師に意を決して電話し、胸の内を話した。
『野球部を辞めたいです』
すると、恩師は
『お前さんから野球を取ったら、何が残るんだい?辞めても、きっと授業には集中出来ないだろうし、全てが中途半端な感じになってしまうと俺は思うんだ。
今は大変かもしれないが、せっかく始めたんだから、もう少し頑張ってごらん』と言い、
最後に、『お前さんならできるよ』
と背中を押してくれた。
以後、練習がキツくても野球部を辞めたいとは一切口に出すことはありませんでした。
その2ヶ月後、初めての夏大会。
伝統ある球場は、非常に大きく感じた。
頭が真っ白になり、地に足が全く付いていなかった。
出番が近付き、ネクストバッターサークルで素振りをしていた。
緊張のあまりノックバットで素振りをしていのをギリギリになって気付き、慌てていつものバットに変えた。
相手は、当時ノーシード最強と呼ばれた古豪。
プロ選手も生まれている名門校でした。
私が入部した年から、我が野球部はかなり人数が減っていたため、四人ほど助っ人を加えて挑んでいた。
1打席目。
数球ファウルの後、
高めのボール球を振り、空振り三振。
2打席目。
大量リードを許し、迎えた4回か5回表。
チームはノーヒットに押さえられていたが、その時は気付かなかった。
この打席は、非常にボールがよく見え、
初めて「ボールが止まったように見えた」
カウントは覚えてないが、相手が投じた数球目の真っ直ぐを捉え、ライト前へ放った。
『うわ!やった!』
緊張と喜びと驚きで、ファーストベースを踏みながら、ベンチを見たらみんな両手を上げて喜んでいた。
この体験は、その後の部活生活を支えた大きな「成功体験」となり、
『諦めずに頑張ってたら、必ず報われる!』という、信念が出来上がりました。
3年時には、監督さんに直訴し、
かねてからの夢であったマウンドに立った。
しかし、部員不足により苦渋の決断で夏大会を初めて辞退。もう一人の部員と涙を飲んだ。
やり場を無くした私達のために、先生方は引退試合を設けてくれた。
ともに3年間励んだ仲間と初めてバッテリーを組み、助っ人は前年度など一緒に汗を流したOBの先輩方などが守る中、力いっぱい投げた。
小さい頃からの夢であった高校野球。
そのマウンドに最後立てたのは最高の景色だったし、数々の目標を達成できたことは、10年以上経った今でも、私の原点であり、胸を張れる経験です。
今はsoftballチームに所属し、当時とはまた違った環境・チームメンバーとグラウンドで青春時代を過ごしています。