美味しさという生存戦略
小麦、稲、ジャガイモ、トマト、茶、玉葱などなど一般的な野菜や植物が実は歴史の大きなムーブメントと繋がっていた、という話を植物博士の方がまとめたのがこの本。
そもそも移動することが出来ない植物は、花や実といった道具を生み出して他の生物の力を借りて種の生存範囲を広げます。トウモロコシや小麦のように人を利用することで世界に広がった植物。戦争や奴隷制のような悲劇を生むキッカケになった茶や砂糖。世界初のバブル経済とその崩壊を生み出したチューリップ。知ると人に話したくなる雑学がつまった本です。食卓での小話のネタには最適かと。
人の言葉こそ話しませんが、実は植物には意識と自我が存在し、美味しさやキレイさという快楽と引き換えに、人や周辺に生息する動物をコントロールして、自分たちが移動することなく種を世界中に広めることに成功しました。最近減りましたが、一時期多かったSF映画にありがちだった「実はこの世界は他の生物の意思に操られているが誰も気がついていないだけ」みたいな想像が読みながら膨らむ一冊です。
この文章を書きながら事務所の庭をみるとジャングル状態。せめて近くに住む住人たちは善良な人たちであって欲しいと願うばかりです。(嫌われないためにも、そろそろ剪定の予約をいれなくちゃ。)、
世界史を大きく動かした植物(2018年・PHP研究所・稲垣栄洋)
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