Photo by riyu 秋 斷 章 / 鈴 木 正 夫 17 一錢亭文庫 / 菊池 與志夫 2023年6月30日 09:36 秋 斷 章 鈴 木 正 夫心よ、わが心よ、深き眠りより目覺めてよ。永き夢より目醒めてよ。悲しき、嬉しき、淋しき、あまりにも變り易き夢にわれら切に疲れ果てたり。悲しさよ、嬉しさよ、淋しさよ。過ぎし夢に見しすべてよ。快き忘却のうちにひそみてよ。 ◇いねがてに目覺めてあれば虫の音をわびしと覺ゆ秋深む頃 (一四、九、三〇)鈴木正夫君の尊父、甲斐の國なる鄕家に在りて病あつく、一日、彼愴惶として歸省せんとする際、余に一篇の詩稿を託せり。詩情哀切。いままた、遂に死報至る。余、哀悼の言葉なし。(菊池與志夫)(越後タイムス 大正十四年十月十一日 第七百二十三號 五面より) #詩 #越後タイムス #大正時代 ソフィアセンター 柏崎市立図書館 所蔵※同紙面の品川力さんの記事をご紹介します。『求婚廣告』に非ず 品 川 力◎最近の僕の寫眞を三枚送ります。これはいづれも菊池君から、とつてもらつたものです。――まるで泥棒猫のやうだ――とは母親の批評ですするとあちらでも、こちらでもまことに適評だといふのですから、あきらめるよりほかありません。◎いま思ひ出したやうに寫眞など送ると、いかにも妻君が欲しくなつたと云ふことになりさうです。といふのは姉の友惠がいよ/\近日結婚するからです。◎――君は話の上手い奇麗な妻君をもらつて、言葉の出さうにない時は妻君から喋舌つてもらふさ――と、いかにも耳寄りの話を菊池君がするのです。さすがにその筋の専門家はお察しのいゝものだと感服してゐます。◎もう十年もたつたら、そこらから自分の好きなの引ッぱつてくるさとは、親父の云つたことです。この道にかけては存外話せない親父の、そこらからが氣に入つたのですが、十年とはけしからんと思ひます。◎こんな事はどうだつていゝのですが、どうしたものか僕は、いくら美人でも越後の方だけは好きでないのです。これはどなたにも宣傳しておかないと、本人がいくら氣にいらぬと頑張つても、越後の女でなけりや駄目だなんといふことになつて、無理にも厭なものを頂くといふ、取返しのつかぬことになりますから――さあ何んだか「求婚廣告」になりさうですから、これで切り上げます。◎菊池君の書斎にはほとんど日本作家の少說ばかりですが、僕のとこには日本の少說は一册もありません。英文學、科學、敎育、評論などの類のみです。全集ではトルストイとドストイスキイそれからニイチェとジパニス、バクウニンがあります。 (――私信)越後タイムス 大正十四年十月十一日 第七百二十三號 五面より #品川力 #トルストイ #ドストエフスキー #ニーチェ #ジバニス #バクウニン ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #詩 #ニーチェ #大正時代 #ドストエフスキー #トルストイ #越後タイムス #品川力 #バクウニン #ジバニス 17