#57 【読書メモ】チームのことだけ考えた
#メモ #チームのことだけ考えた
◆これらの人事制度の結果はひどいものだった。社員同士の競争を促進したため、今までにも増して他人の仕事を手伝わなくなった。当たり前の結果だ。他人の目標達成率が上がれば、相対的に自分は不利になるのだから。また、妙に低い目標を立てる人が出てきた。自分の評価点は、自分の目標に対する達成率で決まるのだから、できるだけ低い目標を設定したほうが有利になる。給与にこだわる者は、上司に掛け合って目標を下げようとした。逆に、事業へのチャレンジ精神が旺盛な者は、自分を鼓舞するために高い目標を設定し、自信の評価を下げることにつながっていた。これでは逆効果だ。
◆またボーナスも士気向上にはつながらなかった。既存の売れ筋製品を扱う事業部は大きな利益が出ているため、中核メンバーは多額のボーナスを手にした。しかし、立ち上げ途中の新製品を扱う事業部は、当面は赤字の状態だからボーナスは全員ゼロだ。自分の努力に全く連動しないボーナスの金額に対し、納得できない社員は辞めていき、離職率は20%前後と高い状態が続いた。
◆また、事業部を分けたことも新たな問題を生んだ。当時のサイボウズはまだ正社員が80人程度だから、細かく組織を分けることは事業の縮小を意味する。こぢんまりとした4つの組織で、こぢんまりとしたソフトが作られ、こぢんまりと売られるようになった。当時のサイボウズの一体感のなさもあり、事業部間が協力し合うことはなかった。
◆理想を実現するためなら、どんなリスクであろうと受け止める覚悟を決めること。それは、その理想以外のすべてをあきらめることでもある。
◆「人間は理想に向かって行動する」
◆サイボウズに一体感がない原因も理解できるようになった。才蔵部には共通の理想がないのだ。
◆成立条件はただ1つ。サイボウズのメンバー全員が「そうなりたい」と思えること。高い理想でも低い理想でも構わない。全メンバーが共通できる理想であれば、一体感を持って目指していけるはずだ。
◆そもそも社員には、売上よりも大事にしているものがあったのだ。それを無視して売上や規模を拡大しようとした私ことが失敗の原因だったのだ。
◆今回、掲げた全社共通の理想は、30年にわたって目指し続ける長期の理想だ。今、掲げ始めたばかりなのだから、現実との乖離が大きくても仕方がない。
◆サイボウズにおける公明正大とは、すべての情報を公開することではない。いつ誰にどの情報を後悔するか基準を決め、それに従って嘘偽りなく情報を伝えていくことである。これなら共通の理想にできそうだ。
◆このビジョンの実現には前提条件が必要であることにも気づいた。それは「1人1人が自分の理想を言葉にして伝えられること」だ。自分が望む働き方や人事制度を伝えられなければ、組織としてそれに応えることはできない。
◆自立とは、人のせいにしないことだ。
◆原因となる自分たちの行動は何だったかを探求する・
◆ドラッカーの本の中に、3人の石切り工の話が出てくる。「何をしているのか」と尋ねたら、3人はそれぞれ「暮らしを立てている」「石切りの仕事をしている」「大寺院をつくっている」と答えたという話だ。どれも正しい答えであるが、どの範囲で理想を定義しているかで答えは変わってくる。
◆コンセプトが明確に表現されていない場合は、たいてい思考不足である。裏付けとなる背景情報が少なかったり、ロジックに矛盾があったりする。逆に、コンセプトが生き生きと表現されているときは、ほぼ心配ないと考える。
◆緩い気持ちを引き締めるのは、飴でも鞭でもなく、高い理想への共感だと考えている。
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