己を知って「No」を言おう
アドバイスというのは、なかなか難しいものです。「〇○しちゃだめ!」と言ったら、それさえせずにいればいいと解釈して、全くの的外れな行動をされたりもします。
例えば、こんな記事を書いて、「上司を説得するなんてバカバカしいからやめましょう」ということを訴えると、「上司の言うとおりにします」なんて人が出てきたり・・・いや、冗談じゃなくて、マジっす。
もちろん、そういう言い方もできないわけではありません。
上掲記事「上司なんて説得するな」ということで言えば、上司には正しく判断してもらえるように、部下はきちんと情報を整理して伝える必要があります。そのうえで、上司が下した決定には、従わなければなりません。いや、従わなければならないというよりも、従った方がいいです。そうやって上司には、その結果責任を取らせることが大切です。
それは、「上司の言うとおりにします」ということと矛盾しません。
しかし、何でもかんでも、上司に従ってればいいというものでもないことは自明です。一応、先日の記事でも、そのことには触れていますが、ここでは敢えて、「上司の言うとおりにします」ではダメだという視点で、あらためて話を整理したいと思います。
上司には、責任があります。同時に権限もあります。その権限に基づいて、部下に命令を出してきます。
ここで部下側の人間が考えなければいけないのは、自分の責任範囲と業務遂行能力をきちんと把握しておくことです。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」などという言葉があります。まずは、自分自身(己)を知ることが重要です。
上司が出した命令に対して、「それは自分の責任範囲でできることなのか?」、「それは自分の能力で遂行可能なものなのか?」を考える必要があります。
1.自分の責任範囲でできることなのか?
組織で仕事をしている以上、それぞれ担当があり、それに伴った責任範囲というものがあります。
しかし、上司から指示された仕事内容が、他部署の仕事だったり、顧客の方でやるべき仕事だったり、上司が決めるべき内容だったり、いろんなことがあります。上司が、そういうことまで理解して命令しているのであれば問題ありませんが、そうでない場合、それを正していく必要があります。
仮に、それが自分の責任範囲を超えているとしたら、より大きな責任を負っている人(例えば、その指示を出した本人である上司・責任者)に対して、仕事の調整をお願いしなければなりません。ただやみくもに「分かりました、頑張ります」と言って、引き受けてしまうのは悪手です。
きちんと「では、関連部署(あるいは顧客)に対して、調整をお願いできますか?」と伝える必要があるわけです。
※テクニックとして、その関連部署や顧客から、敢えて「調整してもらわないと困る」と言っていただいて、それを上司に伝えるという手もあるでしょう。
いずれにしても、そのように自分の責任範囲について、自分自身がきちんと理解しておく必要があります。責任範囲の見極め方については、以前、記事にもしたとおりです。
まずは、自分自身を知ることです。
越権行為をして、責任以上の仕事をすると、(最終的な意思決定権もないくせに、いろいろと手を付けてしまって、結果、手戻りばかり発生するなど)無駄な仕事が増えます。
そんなことになったら、自分は忙しくなるし、仕事は進まないし、上司には叱られるし・・・踏んだり蹴ったりです。
私たちは組織のなかで、自分の責任範囲をきちんと把握したうえで、命令をしてきた上司には、「自分の責任範囲内で仕事をします」ということを、はっきり伝えておかなければなりません。
2.自分の能力で遂行可能なものなのか?
ところで、命令された内容が、自分の責任範囲内と考えることができるものの、自分では手に負えない仕事というのもあります。
例えば、私なんかの場合、情報システム系の仕事をしていますが、あるとき、とあるクライアントからウェブマーケティングの仕事をしてほしい旨の相談を受けました。何となく、ウェブマーケティングが情報システムっぽく見えたのでしょう。明確な境界線がなかったりもします。
でも、その分野の仕事は、私には無理です。
「分かりました。予算をとってください。月○○万円でやってみます」
私は、ウェブマーケティングなんて専門ではありません。ただし、予算さえとってくれれば、それなりにプロを探し出して、合理的な条件で手配することは可能だと思いました。なので、それが私の答えでした。それが私のできることなわけです。
もし仮に、それでは不満だ(竹内は、今の条件で情報システムだけじゃなく、ウェブマーケティングもこなすべきだ)というのなら、私の契約を切っていただくしかありません。そういうつもりで、お答えしています。
下手に「頑張ってみます!」なんて言ってはいけません。労力ばかりかけて、ろくな結果が出せず、四苦八苦するくらいなら切っていただいた方がお互いのためです。
ここでも、きちんと「己を知る」ことの重要性を踏まえておく必要があります。
頑張るのは結構です。
しかし、自分にできないことがあることも理解しておかなければなりません。そして足りない部分は、どのように補うことができて、その場合の条件はどのようなものなのか、きちんと上司に伝えることが肝要です。
何でもかんでも「頑張ります」って答えれば、いいってもんじゃないのです。
まずは自分自身を理解する、そしてそこから外れた命令を出してきた上司には、きちんと「No」と言える勇気も大切なのです。
そう、コレですよ。コレ!
この制作会社さんの動画は、どれもポイントを抑えていて面白いです。それはつまり、その制作会社さんの方々は、そういう仕事の勘所が分かっているということだと思います。
この制作会社さんで、かつて制作していた「モモウメ」という作品も大人気でした。
しかし、この「モモウメ」、今は別の制作会社に買われてしまって、だいぶ、つまらなくなってしまいました。テンポも悪いです。
言っていることもメチャクチャです。共感できません。何でもかんでも「任せてください」なんて言ってしまったら、仕事が混乱するに決まってますし、いい仕事なんてできるわけがありません。
オリジナルの制作会社さんだったら、絶対にこんなことにはならないはずです。
お口直しに・・・昔の「モモウメ」貼っておきます。
笑わせながらこれを言うところ・・・さすがです。そう、そういうことです。相変わらず、「仕事デキル人たち」であることを感じさせます(笑)。
※「仕事がデキル」は稼ぎでもないし、カッコいいとかでもありません。ちょっと会話するだけで、そこそこ分かるものだと思います(逆に、カッコつけてるような人は、すぐに仕事デキないって分かったりするものです)。
お仕事をされている方、そんな感じで、ポイントをおさえて頑張ってくださいな。