No,65.自己愛性傾向(ダークトライアドその3)
サイコパス、マキャベリアニズムに続き、ダークトライアドの最後の性格特性である自己愛性傾向(ナルシシズム)についてつらつらと書いてみる。
一般的に自己愛傾向って聞きなれないが、ナルシストな人といえばわかりやすいだろう。
① 自己愛傾向とはどんな人?
つまり「現実とはかけ離れた理想の自分」によって自らを誇張し、誇大広告のようにすごい人だと思っている。
そのようは判断はいつも他人の評価であるため、みんなに賞賛(ほめてもらいたい、すごいと言ってほしい)されたい欲求が強くなる。
それ故、威張って他人を見下げるような態度をとったりする。
また、共感性が低く、自己中心的な自己顕示欲のため、人間関係に問題がある場合が多い(小此木、1981)。
ちなみに、自己愛傾向はマキャベリアニズム同様に他者操作性(他人を操ろうとする)において類似(似ている)していると示唆される(McHoskey 、1995)。
② 自己愛性傾向の人はどんな性格なのか?
自己愛傾向の人とビッグファイブ※1(性格判断)との関係を扱った研究では、
※1 ビックファイブとは、ひとの性格は大きく分けて5つから成り立っているという概念のもとに、多くの心理学または隣接する領域で多く使われている心理尺度。興味ある方は👇
こういった、開放性や外向性については、非現実的に理想化された誇大な自己概念を有しており、賞賛されたいという欲求が強く、尊大で傲慢な認知・行動様式をとることにある。その表面的な適応は良好であることも少なくないが、他者への共感性に乏しく自己中心的・自己顕示的なふるまいが顕著であるため、人間関係に問題を呈することが多いとされる(Kernberg, 1975; Millon,1998 ;小此木,1981)。
③ 恣意的に総括する
多くの先行研究でも、みんなに賞賛されたいといった人格を持つ自己愛傾向の人は、自尊心が高いわけではない(小塩 1997、1998)。
つまり、自分の中で自信がないからこそ、「他人に認められたい、ほめられたい」といった気持から、大きく見せようと威張ったり、他人を見下したるする。
自尊心のような建設的に自分自身を高めるために努力するのではなく、自信のない自分をこれ以上失いたくない、または認めたくない。
だからこそ、現状の自分を維持するため、他人を見下したり、大きく見せようと威張って認められようとするんだろう。
さいごに
承認欲求が高いが故に他者が賞賛を求める。
しかし賞賛は求めるもではないだろう。
気がつけば賞賛されていたが真実である。
先ずは、自分があって結果的に他者の評価であり、他者の評価のみに焦点をあてることは他者の人生を歩んでいるに過ぎない。
サイコパス・マキャベリズム・自己愛傾向の3つの特性を持つ、ダークトライアド(Paulhus & Williams,2002)については以上です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
引用文献
John McHoskey(1995).NARCISSISM AND MACHIAVELLIANISM.Psychological reports, 77, 755-759
増井啓太・ 浦光博(2018)「「ダークな」人たちの適応戦略」『心理学評論』第61巻、第3号、pp330-343
森口兼二(1993)『自尊心の構造』松籟社
小此木敬吾(1981)『 自己愛人間』ち くま学芸文庫
小塩真司(1997)「 自己愛傾向に関する基礎的研究 ー 自尊感情、社会的望ましさとの関連ー」『名古屋大学教育学部紀要(心理学)』第44巻、pp155−163
小塩真司(1998)「青年の自己愛傾向と自尊感情 、友人関係のあり方との関連」『教育心理学研究』第46巻、pp280−290
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