なつかしさが怖い。【九龍ジェネリックロマンス】【無料期間中〜2/28】
面白い漫画が無料になってたので共有。
『恋は雨上がりのように』で有名な眉付じゅん先生の新作です。
2/28まで全話無料!ふとっぱらすぎる。
まず絵柄がとてつもなく綺麗。
九龍(香港のスラム街)の街並みの表現がすごい。汚いのに綺麗。
住居と飲食店がぎゅっとまとまりながら、狭い道を人々はごちゃついている。
キャラも可愛い。昭和のラブコメみたいな描き味(でもちゃんと現代風に可愛い)がテーマとシチュエーションにばっちし決まってて気持ちいい。
内容はただのラブコメと思いきや、SFミステリを少しずつ少しずつ匂わせながら進んでいく。
めちゃめちゃ面白い。
「九龍(クーロン)はなつかしい場所であるべき」
「なつかしいって感情は恋と同じ」
変わらない日常と忘れられない過去を混ぜ合わせた「なつかしさ」に囚われながら九龍での生活はうっすら続いていきます。
とりあえず1話読んでみて、雰囲気好きだったらそのまま一気にいくとよい。
そしてすごい個人的な感情なんですが、「なつかしい」ってすごく怖くて。
これは作中で工藤というキャラが、昔はあった「冷蔵庫で冷やした水道水」が、今の冷蔵庫にないことを確認するシーンで、ぶわっ!となって自分の感情を再確認した。
なつかしいという総括的な感情って、全体の雰囲気のくせして、トリガーとなるのは細かい細かいことなんですよね。これがすごい個人的に怖くて。結局細部の違いを探す作業になってしまう。
それがどんな変化であれ、「なつかしい」という感情に水を差されるのは確定している行為なのに、どうしても違いを探してしまうし、違いは絶対にあるものなのに。
だから「なつかしい」という感情自体を好意的にとれないというか、好意的にとったら違いがでてきて好意が逆転するのが目に見えてるのに、「なつかしい」と感じざるを得ない環境は存在するのがとても怖い。
この恐怖症は自分でもいま意味わかんなくなってるんですが、明らかにこの漫画で再確認できた感情で。
いい漫画で、とても怖い漫画です。
読めてよかった。みなさんもぜひ。