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幽霊の歌
う 牛に牽かれて善光寺
う 牛に牽かれて善光寺
う う う う うめけば春
らんまん 心にくいまでの春
ゆ 由良さんだ お金のない
ゆ 由良さんだ だらしのない
いわしの腐った目ん玉で
足は かげろう
歩けば 体がこわれそうで
走るのなんざあおつくうで
へなへなと坐るそのお尻に
もえあがるぬくみに てれかくしの焼酎一杯
破産だ 屑だ 空中分解だ などと
呟くうちにもやしの根はつき
ああ 糞 盤石のごとしだ どうにもならんわ
ここ幽霊の墓場で 焼酎もう一杯
初出不明
詩集『浮燈台』(書肆ユリイカ*1951年)