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希 望  4

首から上のない人が
夜の荒野を戻ってくる
首のパイプは稲妻につらなり
その人の声は 天にあった

 しきたりよう くろうね
 つまらんぞう ちえんみあ
 わらわんか のべりんどう
 きらくさね くびんないみあ

風なびき 草なびき 土くれは動いて
さぼてんもひさびさにラッパを鳴らした
仰げば夜天の雲の彼方を
逃げまどう神の一群があった

僕ははだかでおちんこふりふり
首のない人と踊り狂った
つまらんぞう ちえんみあ
きらくさね くびんないみあ

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【自註】
しきたりよう くろうね
つまらんぞう ちえんみあ
わらわんか のべりんどう
きらくさね くびんないみは

 『習慣? ぷ! やな苦労さ。
 つまらんぞ。知恵の実なんていうのは。
 笑えよ、野辺に咲く龍胆の花よ。
 むらさき色の唇ふるわせるなんて、みっとも恥しかないか。
 ま、何たって気楽だあね、首から上を捨て々かかった身は』

さぼてんのラッパ-----あの毛むくじゃらのさぼてんの花咲くさま。

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雷鳴の中から本人だけに聞こえる声。戦地で倒れた友の言葉にならぬ声。
かつての神も姿を隠し。逆転する価値--------。

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