エッセイ | 時間の表情
朝にすべきことを終えた後、時計を見ると時刻よりも先に秒針の動きに目がいった。なんかいつもより早く動いている気がする。気のせいかなとも思ったのだけれど、若干早いような気がする。
・スイープセコンド
私の部屋にある時計はスイープセコンドであるため、カチカチと動くタイプのステップセコンドとは違い、スーッと連続して動いていく。別にスイープセコンドが好きだからこの時計を買ったのではなく、デザインが好きな時計を買ったらスイープセコンドだったのだ。
ステップセコンドであれば進みが早いなんて感じることはなかっただろうが、スイープセコンドだと明確な1秒を感じることが難しいため、たまにこういった現象が私に起きる。
なんとなく時計を見続けているうちに、あんまり普段と進み方は変わらないかもしれないと、なんとも曖昧な納得の仕方をしてキッチンへ行く。
・ステップセコンド
朝の日課を終えると今度はnoteを書くことにしているのだけれど、noteを書くお供にコーヒーを淹れるようにしている。私はほうっておくとコーヒーばかりを飲んでしまうため、何かと関連付けることでコーヒーを飲む回数を減らしている。何も考えていないと1リットルくらい飲んでいる日があったため、さすがにマズいなと思い対策をした。
ペーパードリップやフレンチプレスでコーヒーを淹れる際は時間が重要だ。コーヒースケールと言うタイマー機能付きのスケールだ。これがあるから問題ないのだけれど、なぜかいつも時計を見てしまう。
私はキッチンにも時計を置いている。引っ越してきた時から置いているわけではなかった。無くても問題は無いのだけれど、キッチンにいるとなぜか時間が気になるのだ。
キッチンに置いている時計はステップセコンドで、カチカチと動く。この時計を見ている時は何かを待っていることが多いため、1秒1秒と動く針を見るのが心地よい。その動きを見ていると時間を忘れてしまうほどだ。
・時を止める秒針
時計の秒針を見ていると落ち着く。ステップセコンドでもスイープセコンドであっても。時間は進んでいるのに時間が止まっているかのような気持ちになる。いつからその様に思っていたのかは分からないが、中学生の頃からかもしれない。
私が通っていた学校の時計には秒針は付いていなかったのだが、分針が1分進んだ時に若干揺れるのが好きだった。満を持して動く感じがたまらなかった。この時計に秒針がついていれば、いつ分針が動くかも分かるのにと憤っていたかもしれない。
MONDAINE(モンディーン)という時計ブランドがスイスにある。スイス国鉄で使用されている時計のブランドだ。このブランドの最大の魅力は秒針と分針の動き方だと思う。
秒針が58秒で1周し、2秒間止まる。その後に分針がカチッと動き、再び秒針が動き始める。
58秒で1周してしまう秒針に時計としての機能があるのかと問われると答えられないが、この時計の1分を表現する力は素晴らしい。秒針が2秒間止まっているとき、見ているこちらも止まってしまう。本当に時が止まっている様にも思える。『時を見ろ』と時計に話しかけられているかのようだ。
その時計が作り出す時間の表情から目が離せなくなる。
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