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ことばのこと

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考えすぎと言われるわたしが、 言葉を使って日々思いめぐらせていること。
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#自由詩

ありふれた恋について

ありふれた恋について

南風が吹いた春の日に
まばゆいばかりの恋に落ちた
毎日が生まれたての光であふれて
やわくやさしいものにふれて
踊りだしたくなるような
歌いだしたくなるような

あらわしたいと思う
つたえたいと思う

でもその発露の仕方がわからない。
仕方がわからないのだもの、仕方がない。
どんな言葉が、どんな動きが、どんな旋律が、
このハートのかわりになるんだろう?
このハートを切りとって渡せたらいいのに。
色を

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忘却について

忘却について

忘却

奥の奥の暗い穴ぐら
風もなく音もなく雪だけが降る闇の色
眠れぬ目の奥で見つめ続ける黒い塊
流れを止めぬ水の模様
自分で見ることのない自分の顔
集団ヒステリー
円周率

飲みこまんとする巨大
今はただ、忘れることがこわい