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変わりゆく日本の贈答表現3選:『つまらないものですが』が持つ意外な歴史を知ろう

A氏:「つまらないものですが、どうぞお受け取りください」と贈り物を渡そうとすると、
B氏:(えっ、つまらないものなのね、残念・・・だなぁ)

ということで、最近使われなくなってきた枕言葉の「つまらないもの」。

なかには、
「つなまらないものなら、いらないーよ」とバッサリ切り捨てる風潮がある気がする。

ただ、そのまま切り捨てる方が、逆に教養がないように見えてダサくみえる。そう思うのは自分だけだろうか。


「つまらないものですが」は謙遜を示す謙譲語の一種

この言葉は、本来は謙遜を示す言葉なのです。

取引先などにおいて、目上の人に対してものを差し出すときに用いられることば、

「立派なあなたを前にすると贈り物がつまらないものに見える」という意味合いがあります。
また、「つまらないもの」=「とるに足らないもの」と敢えて下げることで、受け取る相手に無用な気遣いをさせない効果もあるのです。

「つまらないものですが」が好まれなくなったのは、アメリカナイズが進んだ現代の風潮か

アメリカ人が贈り物をするとき、贈る側は、品物を褒めたたえる
「この〇〇、すごくいけてるから、おすすめだよ!ぜひ受け取ってよ。」
と。

一方、日本では、その品物を「つまらないものですが」と悪く言う。

あなたは立派な人です。
どんな贈り物でも立派なあなたにふさわしいものはありません。

あなたの足下に何を置いても、私の善意のしるしとしてしか受け取れないでしょう。だからこの品物の価値ではなく、私の心のしるしとして受け取って欲しい。

最上の品物でもあなたに十分にふさわしい物といえば、それはあなたの価値に対する侮蔑となるでしょう」

新渡戸稲造『武士道』(岬龍一郎訳)PHP文庫

もともとは、「つまらないものですが」は正しく意味があって、それを理解したものどうしが使っていたのです。

しかし、この日本の伝統的な背景は伝わってないことと、昔のように謙遜する場面も少なくなっている風潮があるのではいでしょうか。

ゆえに、字面だけ伝わっているためにバッサリ切り捨て現象が起きている気がする。

言葉の意味と、時代の流れを理解したうえで、別の置き換えした方がスマートかな

言葉は変化していきます。時代の流れとともに考え方は変化していき、昔の言葉はいずれ使われなくなります。
「つまらないものですが、」もその一つなのでしょう。

ただ、使われていたのは理由があり、使われなくなったのも理由がある。
そこを踏まえた方が、「つまらないもの」精神をしっかり理解して次の言葉に伝えれる気がするのです。

「つまらないものですが」の言い換え3選

では、現代はどんな言いかえが良いかというと、次の3つはどうでしょうか。

・「心ばかりですが」
・「ささやかですが」
・「ほんの気持ちですが」

こんな風に、言い換えるとするっと贈り物を誤解なく受け取ってもらえるでしょう。

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