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『指南』の”南”はどこから来たの?

『指南』という二文字熟語を目にした時、何故方角を表す”南”という字が使われているのだろうと不思議に思いました。

(指南車が方向指示をするように)方向、進路などをさし示すこと。また、比喩的に人を教えみちびくこと。その教え。手引き。また、教えみちびく者や役。

精選版 日本国語大辞典より

なるほど「指南車」というものが『指南』の由来なのだな。
めでたしめでたし……とはなりません。
そもそも「指南車」って何? 
”南”を指す車とはいったい……。

三才圖會の指南車
http://47nsha.web.fc2.com/47nsha.htm

中国の伝説の皇帝である黄帝が戦のために指南車を作らせたと史書に記載がある。それによると磁石は使われず、左右の車輪の回転の差から機械的機構により方位を特定する仕組みであったとされている。その仕組みは、現代の自動車などにおける差動歯車の原理に類似するものである。
羅針盤とは異なり「自ら南の方角を探し当て示し続ける」機能は無く、指南車の示す方向はあくまで操作者が最初に設定した方角である。台車を床に置き、あらゆる方角に台車を転がし差し向けても、台上の仙人人形は同一の方角を指し示すのである。

Wikipediaより

なるほど。
方位磁針の”南”特化バージョンということか。
これにて一件落着……とはなりません。
東西南北のうち、何故”南”なのか。

一説では『易経』の一節からきていると言われています。

『易経』の「説卦伝」に、「聖人南面而聽天下,嚮明而治,蓋取諸此也。」(聖人は南面して天下を聴き、明に向かいて(世を)治む。けだし諸をこれに取るなり)とある。

Wikipediaより

なるほど。
古代中国では”南”は特別だったということですね。
納得。
ようやくスッキリしました。

スッキリついでに他の方角で同じような二文字熟語がないかと考えたら、ありました『敗北』。

戦いに負けて逃げること。敗走。また、現代では単に、負けることをいう。

精選版 日本国語大辞典より

どこにも”北”という方角要素は見当たりません。
指南車のように敗北車でもあったのでしょうか。
それとも、縁起の良い”南”の反対だからでしょうか。

敗北の「北」は、方角を表しているわけではない。
「北」の漢字は、二人の人が背を向け合っているさまを示し、「相手に背を向ける」「背を向けて逃げる」の意味がある。
そこから、戦いに負けて逃げることを「敗北」と言うようになり、単に、争いに負けることも意味するようになった。

https://gogen-yurai.jp/haiboku

なるほど。
方角は無関係で、”北”という漢字の意味から来たものでしたか。
見事な引っかけですね。
一つ賢くなりました。

ちなみに東西南北、残りの東西は同じような二文字熟語が見当たりませんでした。
もしご存じでしたら教えていただけると幸いです。


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