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情報社会を生き抜くための本51「2050年の技術」(英『エコノミスト』編集部)

管政権が推し進めるDX(デジタルトランスフォーメション)。その先がどうなるのか・・・正月休みに、パラパラと2050年の技術を読んでみた。

2017年出版のこの本は、英国『エコノミスト』編集部が著者となっている。具体的には、エコノミスト誌ジャーナリスト、科学者、起業家、研究者、SF作家がそれぞれの章を担当し、執筆している。章は次のようになっている。

第一部 制約と可能性
 第1章 日本のガラケーは未来を予測していた
 第2章 ムーアの法則の終わりの先にくるもの
 第3章 第七の波、AIを制するものは誰か?
 第4章 なぜデジタル革命では生産性向上がみられないか
 第5章 宇宙エレベーターを生み出す方程式
 第6章 政府が「脳」に侵入する
第二部 産業と生活
 第7章 食卓に並ぶ人造ステーキ
 第8章 医療はこう変わる
 第9章 太陽光と風力で全エネルギーの三割
 第10章 車は編まれ、住宅は印刷される
 第11章 曲がる弾丸と戦争の未来
 第12章 ARを眼球に埋め込む
第三部 社会と経済
 第13章 人工知能ができないこと
 第14章 プライバシーは富裕層だけの贅沢
 第15章 10億人の経済力が解き放たれる
 第16章 教育格差をこうして縮める
 第17章 働き方は創意を必要とされるようになる
 最終章  テクノロジーは進化を止めない

どの章も「どうして?」と突っ込みたくなるようなタイトルがつけられている。

図4.2 のグラフにつけられているタイトルは「いつか来た道 アメリカの労働生産の推移」である。急激な発展を遂げているように思える情報技術の進展であるが、実際は長い時間をかけて生産性を向上させているというのだ。その進捗カーブは電化による生産性向上と驚くほど似ている。

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「政府による規制がテクノロジーの普及を妨げる」という解説がある。GAFAとアメリカ政府の戦いだけでなく、つい最近、中国共産党政権がアリババに対して税金を高くしようとしてニュースになった。アメリカでも中国でもガバナーはIT企業をコントロール下に置こうと必死なのである。

ちょっと期待をもつのが「太陽光発電」のコスト低下だ。太陽電池素材を柔軟な基質の上に、透明フィルムのような薄い層状に置くことができるという研究がされている。カーテンや衣服として太陽光発電ができるというものだ。

ちょっとなあと思うのが「幼児教育をデジタルデバイスを親に与えることでアシストする」というプロジェクトだ。幼児教育を甘くみてんじゃないかと突っ込みたくなる。幼児期こそ森の中で自然に触れ、体験を重ねて非認知能力を身につけさせなきゃでしょ。と思う。

なんでもかんでもテクノロジーで解決しようとするのは、はたしてとネガティブに考えてしまう。もちろんテクノロジー進化の恩恵を受けるのはやぶさかではないが、そのツケを人間が負うのはよくないと思うのだ。


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