情報社会を生き抜くための本43「認知行動療法_やさしくはじめから」(稲田泰之・楠無我)
タイトルの前に「パニック症・社交不安症・恐怖症患者さんのための」とある。
認知行動療法は、近年さまざまな分野で注目されている。情報社会はストレスフル社会であり、さまざまな心の障害が生まれている。表記のパニック症・社交不安症・恐怖症だけでなく睡眠障害や依存症にも有効とされている。
この本では対象にしていないが、依存症にとっても有効とされている。ゲーム依存、スマホ依存、SNS依存、デジタル依存・・・やっかいなことになっている人(子ども)は多い。
これらの障害は、WHOでは病気とされている。共通するのは、セロトニンなどの神経伝達物質が関係する病気であり、なかなか薬で治らないということだ。薬はあることはある。心療内科に行くと処方されるのは精神安定剤や睡眠導入剤だ。有効な抗うつ剤もある。問題は、そのような薬のほとんどは相性があり、薬を試していかなければならない。また、相性があっても今度はその薬の依存症がおきてしまうこともある。その点、認知行動療法は薬にたよらない。行動そのものを振り返り、心の受け止め方を変えていくことで自分自身でその状態を改善していく方法だ。マインドフルネスも認知行動療法の一種だ。
この本は認知行動療法の解説をしているわけではなく、一部ノート形式になっていて、ワークブックのように活用しながら自分で療法を試していけるようになっている。認知行動療法の専門家が身近にいない場合や、認知行動療法に対して不安な気持ちを持っている場合、この本で試してみるといい。本格的な療法をすすめるには、専門家を頼ることだ。