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情報社会を生き抜くための本46「ケーキの切れない非行少年」(原作:宮口浩司、漫画:鈴木マサカズ)

少年院の医務室に勤める精神科医の書いた原作をマンガ化した本の第1巻である。原作も60万部というベストセラー。そうだろうなと思っていたことがリアリティをもって描かれている。

少年院にいる非行少年に共通しているケーキを三等分にできないという共通の法則。少年たちのIQは低く、社会ではあたりまえのことがなかなか理解できない軽度知的障害。情報社会ではそのまま情報弱者になってしまう。社会の仕組みが理解できないまま高度情報社会で生きなければならない。

OECDのPISA調査(15才対象)が有名だが、大人に対しての能力調査(PIAAC)も行っている。その指標にニューメラシー「numeracy」がある。numerate+literacy(計算する+読解力)の造語だ。数的な思考力と訳されている。日常的な数的な能力と考えても良い。情報社会の重要なリテラシーの1つだが、わかっていて当たり前のことなので欠落していても周りの人間が気づかないことがある。本人は生きづらさを感じながら生きている。

6等分に分けられたピザを「全部食べられる」と答えていた人間が、同じ大きさのピザを10等分に分けてから「食べられるか」と聞くと「そんなに多くのピザは食べられない」と答える。そのような混乱がある。ニューメラシーが欠落しているのだ。




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