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愛されたい。
何を唐突にと自分でも思うが、こういう気分は突然にやってくるのだ。
日常のなかの優しい言葉とか
髪を、頭を、撫でられるとか
泣いていたら理由を訊ねてくれるとか
そういうの。
恋とか恋とか恋とかしたーい。
恋とかしたい。
恋、溶かしたい。
もう眠る時間だ。
結んだ髪をほどく前に、ひとつ歌を歌おう。
「 夢は夜ひらく / 三上寛 」
七に二をたしゃ九になるが
九になりゃまだまだいい方で
四に四をたしても苦になって
夢は夜ひらく
サルトル マルクス並べても
あしたの天気はわからねえ
ヤクザ映画の看板に
夢は夜ひらく
風呂屋に続く暗い道
40円の栄光は
明日のジョーにもなれないで
夢は夜ひらく
八百屋の裏で泣いていた
子供背負った泥棒よ
キャベツひとつ盗むのに
涙はいらないぜ
四畳半のアパートで
それでも毎日やるものは
ヌード写真に飛び散った
カルピスふくことよ
赤提燈に人生論
やけに悲しくつり合うが
コップひとつの幸せを
なんで飲み終る
生まれ故郷の小泊じゃ
今日もシケだといっている
現金書留きたといい
走る妹よ
本当に行くというのなら
この包丁で母さんを
刺してから行け行くのなら
そんな日もあった
夢は夜ひらく唄っても
ひらく夢あるじゃなし
まして夜などくるじゃなし
夢は夜ひらく