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『活眼活学』(安岡正篤)ブックレビュー

前回のブックレビューをしてからというもの、いったん新しい本を読むのをお休みして、そんでこれまでの本をもう一回ざざーーーっと読んでみていた。それこそ、『息子のトリセツ』やら『雑談の一流、二流、三流』やら、『嫌われる勇気』やら、『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』やら。複数回読んで、レビューまでしているものを再度読んだのはまたいい期間だった。

そして今回、先述した『「ついていきたい」と~』の著者岩田松雄さんが勧めていた『徳』を積む中で読むことを進めていた本書『活眼活学』に手を出した。この本、帯の裏のコメントが凄かった。どうやらこの著者の安岡正篤(やすおかまさひろ)さんは、『三国志』『菜根譚(さいこんたん)』『老子』『荘子』『論語』『孟子』『ファウスト』『史記』『中庸』『友情論』『徒然草』『碧巌録(へきがんろく)』『正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)』『易経(えききょう)』を研究している方だそうで、そこから人が生きるべき道を紹介してくれているのがこの本とのこと。そして読んだ感想としては、、、

知が深すぎる!!笑

読んでいて、自分の知の浅はかさというか、わかりやすく伝えてくれているのに嚙み砕けていない感がめちゃくちゃあって、何度も今後読んでいかなきゃなと思った。それだけ、書いてあることの幅や深みがあらゆる叡智を結集している感があった。安岡さんは1898年生まれとのことで1983年に逝去なさっている。お会いしてみたかったなぁ。レビュー・・というか気になったところ、ざっと書きます。

内実の潜在エネルギーを培養せよ(P17)。広く味のある、変化に富んだ良い交友を豊かに持ち、かつよい書を読め(P20~21)
現代は3つの問題を抱えている。①歴史や伝統を目の敵にする「へそのない人間」が増加(P27)②インターナショナルに向けて、各国が道徳的になる必要がある(P31)③文明の発達により、物や事があふれ、自分自身の生活(自我)をなくす(P36)
西洋の文化は『分化』、東洋文化は複雑なその特徴を区別したうえでさらに一段と統一発展させていくことが重要(P77)。ナショナリティを尊重し、磨き出すことで活世界になる(P78)
人間は心がけ一つで真剣にやりさえすれば道が開ける(P92)。長い目で見る場合、全面的に言う場合、根本的に言う場合、まず何が必要かというとなにより自分自身の問題として考えることが重要(P89)
我々は自分を知り、自分を尽くせばよい(P95)
聖人や達人は、自身で自由に運命を変化造成できる(P100)
表面的な学びではなく、全生命を打ち込んで学問すると、人間が学問・叡智そのものになる(P106)
『以義処命』:いかなることに遭遇しようが、良心を以てあたり禍福利害のため良心を損なうことをしない(P122)
志あるものは進を己に求めるべきで人に求めず。ケインズもto do goodよりto be goodであるべきといった(P124~125)
日用心法(≒日々の生活と心得)(P127~140)
①適正な飲食
②安眠(=心理的に質の高い睡眠)と熟睡(=生理的に質の高い睡眠)
③悪習慣をやめる
④適切な運動をする
⑤安定した精神を保つ(一喜一憂しすぎていないか)
⑥常に一定の仕事ができるようにする(感情に左右されず、平常通り仕事しているか)
⑦仕事に打ち込めているか、絶えず反省する
⑧仕事に有能か
⑨生涯の仕事として足りるか
⑩自分の満足を何で得るか(退屈してしまっていないか)
⑪追及する問題を持つ
⑫誠実である
⑬教養に努める
⑭エキスパートであるか
⑮信仰・信念・哲学をもっているか(一切をはく奪されても、奪うべからざる永遠なもの、不滅なものが何かあるかというとき、答えられる人間にならなければならない)
『仁』:天地自然が万物を生み育てていく創造の徳であり、人の健康を増進するもの(P148)
『混然中処』:万物の中に混じてはいても、その中にまごついておらず、常に創造の道を進歩向上していること(P189)
『機前を以て心と為す』by村松家行(伊勢神道鎌倉期):夜明け(または大昔)の光明で汚れなき時間に自然の心理に心を立ち返らせるべきである(P201)
『当年五十にして四十九の非を知り、六十にして六十化した』by蘧白玉 (淮南子):50歳で半生の非を知って、そこから新たにやり直す。常に学び、創造変化を繰り返す(P208)

 深すぎて尊すぎて結局全然自分の中に消化しきれなかったこの本。
ただ日用心法にまとめて書かれていた、人としてどう生きるべきかはまた時間をおいて読み直したいな。その時の状況や心の状態によって、いろんな響き方になりそう。
さて、ちょっと難しい哲学の本を読んだから、次はまたビジネス本を探そうかな。

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