完璧な休日
僕は火水休み。その休日をいかに充実させるか、満足のいくものにするかに全力を注ぎ、試行錯誤をいとわない。特に火曜は休肝日と決めており、一日の”締め”がない以上、一日全体の総和の満足度で”勝ち”を狙う。だから、休日は前日夜から始まっている。
月曜の夜23:30を回ったあたり。いつもなら火曜の朝にやっていた1週間分のTV予約と洗面所の掃除を行った。TV予約は白玉が起きている時間にやると「アンパンマンつけて!」となり、洗面所掃除は外出やカメの水換えのタイミングを変に考えてしまい実施時間帯を見失いがちだからだ。ついでにアイロンがけや翌朝のゴミのまとめも済ませ、火曜にある予定だった読書『働くママ 専業ママ 子供のためにどっちがいいの?』も少し先に読み進め、深夜2時半過ぎに就寝した。
火曜はランニングから一日を始める。5:30から準備運動やらランニングやらで7時に帰宅してシャワーを浴びるのが王道パターンだが、あいにく外に出ると雨が降っていた。計画を軌道修正するのは得意だ。ひとまず前日にまとめたゴミを捨てに行った後、シャワーを先に浴びて白玉が起きる8時までの間読書をすることに決めた。シャワーを浴びながら風呂掃除をこなし、風呂から出てすぐ朝食の準備をし、コーヒーを飲み読書を開始。開始直後にまさかの白玉起床。時刻6:30。計画を軌道修正するのは得意だ。子を持つ親に必要なのは、『子の意向を無視し予め決めたスケジュールを予定通りにこなすこと』でも『子に依存したスケジュールをこなすこと』でもなく『子が見せるいつ何時のいかなる提案にも対応できるサブプランをいくつも持っておき常に最適なものを選択し続けること』である。軽くアニメを見せてから、こんな時に備えて先に準備していた朝食を共にする。おむつ替えや着替えも済ませ、掃除機をかけた。白玉が退屈しぐずりかけた雰囲気を見逃さずこちらから散歩を提案。案の定白玉の答えは「電車に乗りたい」。子連れの散歩は子供の支度に気をとられ出発手前自身の整髪やらに変に時間をとられがちだが、あいにくこちらは風呂から出た時点で整髪も終えており、靴下も履いている。プランはあらかじめいくつか考えていた。公園は珍しく嫌がったので真っ先に電車に乗る。電車を降りたあと向かったデパートには9:30に到着したが開店が11時とのことだったので我らがヨドバシカメラのプラレールコーナーへ。満足した白玉は11時就寝。待ってましたとばかりにスタバで『働くママ 専業ママ 子供のためにどっちがいいの?』を読破。そのタイミングで起床した白玉。90分の昼寝は僕との休日の中では比較的短いが問題ない。ヨドバシ付近で目をつけていたレストランへ。レストラン内で提供された牛ヒレステーキに興奮してベビーカーから立ち上がった白玉がテーブルに目尻を痛打するトラブルこそあったが問題ない。
再度ヨドバシカメラのプラレールコーナーを希望する白玉をガチ無視し、自らの欲求そのままに無印へ。数十分で白玉のガチギレ具合が見受けられたため自宅の最寄り駅に戻ってきた。買い物をして帰宅。今日の夕食は春巻きだ。巻きまくる。
帰宅後白玉にはミッキーアニメ、プラレール、アンパンマンのスペシャル構成でどんどんご機嫌を上げてもらう。春巻きの具の部分を炒めていると白玉が一度「おなかすいた、なんか食べたい」といったが、それも予測の範囲内で早めにおかずを作り終えており、それとレストランランチの残りを食べさせた点も抜かりはなかった。白玉がおむつへのウンチを終え、モノをトイレに流すと同時にトイレ掃除も敢行。白玉に断りを入れたあとカメの水換えも完遂。ちょうどその頃今朝の風呂掃除で空になっていた湯舟の湯沸かしが終わり、先ほど手を付けた春巻きの中身も冷めてきたためちょうど春巻きの巻きまくり時だ。巻きまくった。
白玉と風呂に入ったあと、たまった洗濯物を色物と白物にわけるとほぼ洗濯機3回分。明日の負担を考え1回分は今日のうちに回すことにした。ちょうど妻の母から『今から帰りますメール』も来たため洗濯機のスイッチをオンにし白玉に再度訪れた「おなかすいた、なんか食べたい」現象に対応。ビールのおかず用に作ったきゅうりと梅干の和え物はきゅうり部分がほぼ完食されたが抜かりはない。洗濯機が仕事を終えたタイミングで妻の母が帰宅。ベランダに干しに行く僕。ここで作業しながら眺める星が綺麗なのも計算通り。
妻がその30分後に帰宅した時には全員分の春巻きが今まさに揚がったところだった。祝杯だ。僕は休肝日であり妻はもともと酒は飲まないので共に麦茶。そして妻の母には僕自身の手で日頃の感謝を胸にビールを注ぐ。
ビールサーバーが外れ絨毯にビール缶500mlが落下。
飛び跳ねたビールは妻の仕事用のトートバックを直撃し一気に無言になる妻。
もっと無言の僕。
パーフェクトに見えた一日の最後の最後で起きた致命的なミス。
僕は休肝日を撤回し、落下して底がひしゃげた500ml缶を手にし、残りいくらもない泡だらけのビールをグラスに注ぐのだった。
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