ひとり夢の島熱帯植物館
植物園がけっこう好きだ。
と、「夢の島熱帯植物館」に足を運んで気付いた。
山や海や川に囲まれて暮らしていた頃は、とにかく早く東京に行きたいと思っていた。でも、上京したら上京したで、どこまで行っても続く平野がつまらなくなることがある。今住んでいる千葉なんて本当に山が見えなくて不安になっちゃう。
そんな、ないものねだりすと(ないものねだらーも可)が手軽に自然を感じられるのが、植物園なのである。
植物園にも色々な種類があるだろうが、私が好きなのは透明なドーム型の、熱帯植物たちがたくさん暮らしているタイプの植物園だ。
多分だけど、あっついあっつい南の島に住んでいた頃を懐かしむ気持ちが爆発するからだと思う。でっかいガジュマルとか見ると、校庭に生えていたガジュマルに登って本を読んだ記憶が蘇って泣きそうになる。
新木場駅から歩いて徒歩15分ほどのところにある「夢の島熱帯植物館」は、その名の通り「夢の島」にある都がやっている植物館だ。
夢の島という(包み隠さずに言うと)ちょっとバカみたいな地名は、元々この辺に海水浴場があったり遊園地を建てる計画があったりしてマスコミが「夢の島」と呼び出したのがきっかけで、そのままその名前が採用されたらしい。
夢の島はゴミでできた埋立地である。ゴミ処理場の余熱を利用して熱帯植物を育てている。
ゴミ処理場の煙突の下にはだいたい温水プールがあることは、「ロバート秋山の市民プール万歳」という、秋山が市民プールで泳いでご飯を食べる番組で知っていたが。
なるほど。植物館がある可能性もあるのか。
植物館では入り口のすぐ近くで、15分の短い映画が2つ交互に上映されていた。小笠原編と西表編である。私は、小笠原編だけを観た。小笠原諸島の植物の歴史とそれを保全する取り組みについてまとめた映像だ。30年前に撮られたフィルム映画で、なかなかいい味があった。
ちびっこ達の「これ映画なのー?」と疑問視する声や、映像に出てきたヤドカリを見て「ヤドカリ知ってるー!!」と主張する声が可愛かった。
映画の後はドームに入る。視界のほとんどが緑色になる。
花より葉っぱの方が好きかも、とか、花の中だったらちっちゃい花がいっぱい集まっているやつが好きかも、とか。そんなことを考えながらテクテク歩くとあっという間に時間は過ぎた。
日頃そんなに疲れているわけではないけど、それでも、自然を感じることによって縮こまった脳みそがふわ〜っと広がっていく感覚がある。
原始自体から対して脳の構造が変わっていない人間には、自然が必要なのかもしれない。
気持ちのいい晴れの日に、ずっと行ってみたいと思っていた植物館に来れてよかった。3連休しょっぱなの日だったけど、人もそんなに多くなくて、いい穴場スポットだった。