酒槽
目立たないビルの地下にある、まさに隠れ家的な佇まい。
割と雰囲気が気に入って、何度か通ったお店。
酒槽とは、日本酒を作る際にもろみを絞って清酒と酒粕とに分けるのに使う長方形の木桶のこと。店名の通り、日本酒と、そしてそれに合う肴が美味しいのがとても良い。
ちょっと常連っぽくなったかなあ、というくらい通ったあたりで、可愛がっていた日本酒好きで生意気な部下の子を連れて行ってあげたら、やはりそこはスノッブな純米酒好き、大層気に入ったようで。
まあ、なんのかんの言っても、自分の好きな店を好きになってくれるのはやはり嬉しいものです。生意気だけど。
その日は気分良くご馳走してあげて、暫くして再度彼を連れて行ったら、店に入るなり普段は無口な店主が「いつもありがとうございます」などと、珍しくニッコリと挨拶をしてきたので、返事しようかと思ったら、ワタシではなく隣に立ってた部下の子に向けて言ってたのだった。
はあ?
聞けば、この間連れてきた時から、もう何度もひとりで来てたんだと。
なんというか、立場というものがだな。もう!お前もう今日は俺に奢れ!
と、プンスカしてたら、店主が「まあまあ」ととりなし始めたので、あんまり不機嫌になるのも大人気ないので、いつもの調子で呑む。
ホントこいつ人たらしで参っちゃうよなあ。
結局、また奢らされたんですけどね。
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