大衆劇場 足立屋
コザの街は音楽の街。
通りの至る所に、ジャズ喫茶、ジャズバー、フォーク喫茶、レゲエバーなどが軒を連ねる。
既に暗くなった商店街のアーケードでは、ガラス張りのダンススタジオらしき建物から、まだ小学生とも見える子供たちが次々と出てくる。
ドレッドに編み込んだ髪にニット帽。ランドセルが似合わない大人びた姿。
しかしこんな夜遅くまで?と思って通り過ぎたら、親御さんらしいイカつい車が迎えに来ていた。
ここでレッスンを受けて、いつかは安室奈美恵やSPEEDやISSAのように、と夢見て努力しているのだろうなあ。
そういう意味では本土の小学生が、暗くなるまで塾に通うのとさほど変わりない。
パークアベニュー通り
一際目立つ、煌々とした灯りが遠くからも見える。
足立屋を展開する足立フーズさんは、沖縄県内に東京下町風の飲み屋をチェーン出店している企業だけれど、そのお店ごとに特色があってなかなか面白い。
最近ではいわゆるセンベロのお店だけではなく、ピザとパスタのお店とか、ランチの居酒屋とか、既存店舗とは一風変わった独特の支店を次々と出されている。
その中で割と歴史の古い方のコザの支店は、店内はセンベロ無しで、外のテラス席のみがセンベロ対応。
刺し身や寿司の鮮魚のコーナー、揚げ物のコーナー、焼き物のコーナーなど店内は数個の島に分かれているカウンター。
もちろん、どの島のカウンターに座ってもなんでも注文できる。
カウンターの隣には二人組の女の子。
どうやら沖縄に遊びに来た東京の友人の恋愛相談に乗っているというご様子。
たいてい女の子の愚痴がそうであるように、本質的にはアドバイスや助言、ましては説教なんかを求めているわけではなくて、ただ話をきいてもらって
「そうだねー」「そのとおりだねー」「うんうん」と相槌を打ってもらいたいだけであり、そういう意味では、おそらくは親身になって彼女にアドバイスしている沖縄の子が、そんな男、別れたほうがいいよ、付き合ったってろくなことがないよ、などと言うのはやや空回りしている印象。
ただ、彼女が言った
「そんな中途半端に付き合うくらいなら、割り切ってセフレでいたほうがいいよ!」
という迷言?には思わずサンピンハイを吹き出しそうになった。
いや、流石にそれは無いだろう。
飲み屋のカウンターは色々勉強になることばかりだなあ。