とにかく渋くてチルい。飛騨の秘湯・恵比須の湯(岐阜県高山市)
泉質 :★★★★★
源泉掛け流し、高濃度(日本に数少ない「1158ppm」の遊離炭酸温泉)
雰囲気:★★★★☆
濃ゆい人たちの会話を聞けると言う意味では◎
充実度:★★☆☆☆
基本アメニティはありますが、設備充実を求める場所ではない
チル度:★★★★☆
地元の人たちがいるときはとても渋くてチルくていい雰囲気。それ以外の人がいるときは、チルさが少しダウンすることも。
私のおすすめ度:
あなたが最高の泉質を求めるのならば★★★★★
あなたが雰囲気重視ならば☆☆☆☆☆
銭湯の雰囲気で高濃度の温泉に入れる秘湯
地元民の間では言わずと知れた名湯。高山の観光街から車で30分、周りには山しかない、いわゆる田舎にポツンとある名湯。
お湯は茶褐色で、40度のぬる湯と44度の熱湯があるが、全て加熱式。だから高濃度なんですよね。そして源泉は、無加熱の20度ほどの冷泉となっている。他の温泉施設の水風呂といえば、5度ぐらいの冷たーい水。筋肉が縮まりそうな行水だが、ここの冷泉は一味も二味も違う。
20度なので筋肉がピックとしない。確かに冷たいと感じるのだが、少し我慢して身体全体を冷泉に身を投じて「1、2、3」とカウントすると、肌がじわじわと冷泉に馴染んでいく。
いや〜気持ち良いのです。
じわじわとくる気持ちよさが、チルい。
地元のための憩いの場所。飛騨弁が飛び交う
コロナ禍以前は、この名湯を求めてツーリング客や他県からきた観光客も多く訪れていたが、現在は完全に飛騨弁が飛び交う。
私は1年前に飛騨に移住した30代。周りは生まれも育ちも飛騨の人生の先輩たち。決して彼女らと交流するわけではないが、周りで飛び交う飛騨弁は、まるで「日本昔ばなし」を聞いているかのよう。
「昨日の晩にイノシシに畑を荒らされた」
「この夏はカメムシが少なかったから、この冬は雪が結構降る」
こんな会話が日常茶飯事。
東京のお湯では職場の愚痴、大阪のお湯では政治に対する愚痴と意見が飛び交っていた。ストレス発散のためにしゃべっていて、まるでお風呂で浄化しているようだった。(聞いている側としては結構辛い内容が多いなぁ)
飛騨の恵比寿の湯は、とにかくチルい。
チルいとは、英語のChill outの意味で、「くつろぐ」「まったりする」の意味。まさに、恵比寿の湯はチルすることを目的にいらしている方が多い気がする。まるで温泉に入っているお猿さんみたいに、だまーって、目をつぶって、まったりぼーっとする。
意外と貴重な渋くてチルいお湯
ただ濃度が高い、ただ渋いじゃない。
渋くてチルいは、地元のまったり感の世界に入る非日常のようなもの。
そんな体験をしたい方はぜひお勧めの名湯です。