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子供の動く係活動―係活動でも「居場所」を(2年生以上)

 係活動と当番活動を分けることは、今の教育の世界では常識ですが、私が当番活動として考えていたのは、<日直><給食><清掃><奉仕活動>ぐらいです。だから、<黒板>や<国語、算数などの各教科><提出物の配付>などは、「係」としてきました。そうしないと、当番活動の負担が大きくなり、係活動まで手が回らないという子が出てしまうからです。


  当番:誰かが必ずやらないと学級全員が困るもの…だから、学級全員が   
     輪番で行う
  係 :あれば、学級全員が生活しやすくなったり、楽しくなったりする
     もの(=学級文化が向上するもの)…やはり学級全員に関わるも
     のなので、全員が何らかの係活動を行う

 と、考えていました。だから、当番活動では主に「責任感」が求められ、係活動では主に「創意工夫」が求められます。
 
 各係は、決して「イベント」を企画・実行するだけではなく、「係新聞」を発行したり、「学習プリント」を制作したり、何らかの分野で「頑張っている子を表彰」したりしました。たとえ、「黒板係」であっても、工夫した楽しい学級全体を巻き込む活動が行えるのです。ちなみに、結果として私のクラスでは、どの係もさかんに「係新聞」を発行するようになりました。「楽しい!」のだそうです。
 
 では、そうした係活動を子供たちが自主的に進め、そのことによって、楽しさ=やりがい=「居場所」を感じ取れるようにするために、私が大切にしたポイントを紹介します。
 次の4つです。

1 子供と係を創る


・まず、「係活動」とは何か、上記のような内容を説明しました。ただ、教師の考えを押し付けないように注意しました。「今までの先生と違う」という思いをもたせることを、私は好みませんでした。「前の先生が好き」でいてほしいし、子供にも今までの自分を大切にしてほしいと思っていました。

・前年度を想起しながら作りたい係を決めます。「あれば、学級全員が生活しやすくなったり、楽しくなったりする係が生活しやすくなったり、楽しくなったりする係」という基準で考えさせます。そうすることで、活動内容がイメージしやすくなります。子供たちがイメージできない係に対しては、私が、これまでの子供たちの活動内容を「例」として少しだけ話しました。

・作りたい係が出揃ったら、人数の割り振りをして、「やりたい!」を第一に係を決めます。バッテイングした場合には、希望理由を語り合って決めさせます。それでも決まらなかったら、その時こそ、コラボレーション能力を育むチャンスです。ア)人数の割り振りを変える、イ)係活動の内容を分割する、ウ)第2〇〇係を新たに作るなど、全員が納得できる着地点を考えれば良いのです。

2 係会議で活動計画を立てさせる


・まず、係名を工夫し、係の目標を立て、係長を決めて、活動内容を決める準備をします。

・活動内容を決めます。係の目標を実現する内容を考えさせます。ここまでは、定番です。

<いつ><誰が>(<どこで>)<何をするのか>を計画させます。計画段階では、これが一番大切です「活動内容」を決めただけでは、子供は動きません。やる気が無いのではなく、具体的に決めていないから、動けないのです。

3 活動の時間を取る


子供が動けるように支援するには、活動時間の確保が絶対に必要です。私は、まず学級活動の時間を1時間取って、活動させました。活動の段取りを理解したり、計画の甘さに気付いたりもします。その後は、子供と相談をして、「帰りの会」の中に「係タイム=係の活動時間」を取るようにします。1~2分間で十分です。「まだ、やり足りない」という係が放課後に残ったり、2年生でも見通しをもって活動を進めたりするようになります。

4 活動を評価する時間を定期的に取る


「学級係会議」を開きます。これが最も大切なポイントです。4月に係活動がスタートしたのなら、約一か月後の5月の連休明けが最初のタイミングでしょう。次の手順で進めました。
 
①係ごとに評価…この段階では、「頑張った」とか、「サボった」とかのレベルでもまだ良いと思います。②を経ることで、③で目の色を変えて振り返るようになるからです。
 
②学級全体で相互評価…「あれば、学級全員が生活しやすくなったり、楽しくなったりする係」という基準で一つ一つの係に対して評価し合います。緊張感が教室に漂います。辛辣な評価が、真面目に、でも和気あいあいと交わされるという場合が、ほとんどだったと記憶しています。もちろん、事前に否定的な評価もお互いのためであることを伝えておきます。

③再度、係ごとに評価…なぜ、②のような評価をされたのか、活動内容、工夫、分担の仕方など、今度は具体的な振り返りをします。メタ認知をさせる場です。

④ふり返りを生かして、今後の活動計画を立てる…場合によっては、係の統廃合や新設が行われます。この後は、「学級係会議」は、数か月に一度くらいのペースで十分になります。

・各係の活動内容を掲示し、子供たち確認、評価できるようにしておくことも大切です。
 貼っておくだけでは、利用しなくなるので、この掲示を使って、月に1~2回程度、活動を確認、評価する時間を取ると良いと思います。私は、子供たちの自己評価に応じてシールを選ばせ貼らせていました。音読カードに、「係活動の振り返り」欄を設けて毎週末、自己評価させていた時もありました。

 以上、子供が動き、「居場所」をつくる係活動のための4つのポイントを紹介しました。参考にしていただけると嬉しいです。