夏季休業中に図書室を調べる!若手の先生にオススメ!
異動により勤務する学校が変わった年度、4月当初からの日々を慌ただしく過ごしてしまうことがよくあった。
そういう時は、往々にして新たな勤務校の図書室の様子が分からないまま7月末を迎えてしまうことが多かった。
そこでそういう年度は、夏季休業中に、図書室に籠もる日を設けた。
勤務校の図書室「を」調べるためである。
同じ教育行政地域内であっても、異動して学校が変わると、図書室に揃えてある図書の種類には案外違いがあるものだ。
そこで、主に次の五つの視点で配架してある図書を見て回り、手に取って調べた。
まず、その年度に担任している学年の、9月からの授業に関連した書籍にどんなものが配架されているかを調べた。
国語の教材文を念頭に、比べ読みや重ね読みが可能な本がないか、また、様々な教科や領域の調べ学習等で用いることができる図鑑類や解説書、統計資料などを見て回った。
そうすることで、逆に教科の授業や総合的な学習の時間等の計画のイメージが具体的に湧いてくる場合もあった。
次に、4月から7月に実施した授業で、実は使えそうな書籍がなかったのかを調べた。
「この本を使えばこんな展開もできた。」「こんな適切な資料もあったのだ。この部分は、まだやり直しができるかもしれない。」と、反省することも含めて今後に活かすためである。
三点目は、担任している以外の学年で使えそうな図書を探した。
出版会の動きは速い。
教育界の流れが速いというべきか。
以前他学年を担任していた当時に、「こんな図書があれば」と思っていたようなものが現物化されている場合も少なくない。
次の機会への見通しがもてる。
四点目は、9月以降の授業のために購入が必要と思われる図書が見えてくる。
前任校にあって有効だった図書で無いものがあれば、購入希望を出すことに繋げられる。
五点目は、9月以降の学級での読み聞かせや読書活動の推進に役立つ図書の探索である。
私は、特に低・中学年の担任だった時は、本や紙芝居の読み聞かせを頻繁に行った。
7月までは自分にとっては定番の読み聞かせ用の本や紙芝居をマイリストとして持っていたので、自宅の本棚や地域の図書館から借りていた。
しかし、9月になると、そろそろ「種切れ」となる。
そこで、勤務校の図書室から探したのである。
また、私は、「子供たちへのオススメブックリスト」も読書指導の資料として用意していた。
だが、これは学校が変わると使えなくなる場合がほとんどであった。
上に書いたように、異動すると、図書室の図書に違いがあるからだ。
そこで、「オススメブックリスト」の修正も含めて、9月以降の読書活動で子供たちに読ませたい本、廊下の教室入り口に置いておきたい本(「ヒント帳38参照」)をピックアップすることをしておいた。
以上が、私が夏季休業中に行っていた図書室「を」調べる仕事である。
ちなみに、この夏季休業中には、研修などで他校に出掛ける機会もある。
そんな折に、廊下やホールに書架が設置してある学校だったり、図書室が控室等になったりする場合がある。
そういう時も、図書「を」探る好機である。
同じようにお考えになる教師は少なくない。
「この本が、私の学校にもあるといいね。」などと言いながら、書籍を手に取っていらっしゃる先生方を見掛けることは珍しくない。
ところで、調べ学習はネットで十分とお考えの方もいらっしゃるかもしれない。
ネットよる調べ学習と書籍との決定的な違いは、「分かりやすさ」と「信頼性」である。
ネット情報では、漢字や語句の意味が分からずに閉口している子供がよく見られる。
また、書籍のほうが、子供の知りたい情報が行き届いて編集されている場合が多い。
「信頼性」については言うまでもなく、出版されている書籍の情報の方が、信頼度は高い。
もちろん「絶対」ということは、あり得ないし、情報の信頼性に対する教育は不可欠である。
そうでなくては、教師が選択し、信頼できると判断したものだけを子供に与えることになってしまう。
その結果、子供の本来自由な広がりをもつべき学習を教師が限定してしまう陥穽に陥る。
さらに、「紙の本」を用いる場合は、それがすべての子供にとっては使いやすいものでないということを十二分に考慮しなくてはならない。