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日本LGBTドラマ「モアザンワーズ」

主演:藤野涼子、青木柚、中川大輔、兼近大樹
2022年 全10話(1話約30分)
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=こちらのサイトより)

「ねぇ、いしゃーしゃ、僕たちの子供を産んでくれない?」

は?
10数年前、時々一緒に仕事をしていた中国系男性Yから、ランチしている時に唐突に言われた。

「いしゃーしゃなら、僕と同じアジア系だからRも絶対に賛成だと思うんだよね。」

ちょっ、待った〜っ!
いきなりYから提案され、食べてるものを吹き出しそうになったが、彼は至って真面目に私のことを見ている。
Yはカミングアウトしているゲイで、どこかヨーロッパ出身のRというパートナーがいるようだ。私がちょうど子供を産んだばかりだというのを知っていたんだろう。
その勢いで、僕たちの子供も産まない?ってきたのだが、いやいや、超高齢出産した私。

「ごめん、もっと若い子に頼んで。私はもう無理💦」
と丁重にお断りしたが、本作を観て、そんなエピソードを思い出した。

昨年フォローしているゆりぱせりさんのこちらの記事を読んで、是非とも視聴しようと思っていたドラマでもあった。

あの青春の日々は、ときに優しく、ときに切なく、いつもはかなく輝いている――同じ高校に通う、親友だった美枝子(藤野涼子)と槙雄(青木柚)。一緒に始めたバイト先で大学生・永慈(中川大輔)と出会い、3人はつるむようになる。ある日、永慈が槙雄を好きだと言い出し、2人は結ばれる。しかし周囲が交際に反対。槙雄と永慈を引き裂こうとするなか、美枝子が彼らのために2人の子供を産むことを決意。3人の特別な関係は徐々に変化していく。そんなとき、槙雄は元同級生の朝人(兼近大樹)と偶然再会し・・・。若者たちの痛々しいほどピュアで、美しくも切ない青春群像劇。

Amazonプライムビデオより

3人の世界、でもみんなの世界

最初の数話はもちろん状況説明も含めて、美枝子と槙雄の高校生活の部分がかなり描かれる。なので、クラスメイトや色々な人が出てくるのだが、だんだん人数が絞られてくる。
そしてひたすらに3人の世界が描かれていくようになる。

ゲイのカップルと少しアセクシャルの傾向がある女の子という組み合わせはどこにでもいるものではないだろう。しかし、彼らの普通の日常や会話を見ていると、まるで自分もその中の一人であるかと感じてしまう。

特に、カメラが長く一つの絵で止められている撮り方が多く、その間、主人公は何を考えているのか、画面のこちら側にいる私たちも考えてしまう。

幸せに続くように見えた、そんな3人の世界に、大人たちが入ってくる。
佐々木蔵之介演じる永慈の父と、ともさかりえ演じる美枝子の母だ。この二人の存在は対照的でなかなか興味深かった。

永慈の父は、最初の印象では、オープンで、なんでも受け入れそうなイメージだが、実際には全く違った。
美枝子の母は逆に、娘には全く興味なさそうで、しかし美枝子の妊娠には大反対するかと思ったら、意外にも協力的になる。

父親が息子の関係を認めていれば全く違う展開になったし、また、母が娘の妊娠に反対したら、これもまた全く別の展開になっただろう。

別のふたりの世界

原作の漫画を知らないのだが、本作は同名の漫画をメインとするものの、後半の約2話はスピンオフのような『IN THE APARTMENT』という作品を原作として、槇雄と小学生の同級生だった朝人の物語に当てられている。

一緒に夕食を食べるようになり、やがて半同棲のような関係になる二人

この部分はとても良くて、多くの人の感想にもあったが、2話ぐらいではなく、もっと長くしてほしかった。槙雄の過去のわだかまりを消そうと助けるものの、実は自分の心の中のわだかまりにも決着をつけようとする朝人は優しくて、じんとくる。
最初は髪の毛の色が違うのでわからなかったのだが、本作で俳優デビューした兼近大樹はとても良かった!私はお笑いはあまり興味なくて、よく知らないのだが、今後俳優としては注目したい一人である。

さて、私が若くて、上記のYと彼のパートナーと、本作の美枝子たちのような関係だったとしたら、子供を産むだろうか?女として役に立てる!と思うだろうか。
もちろん状況にもよるが、もしかしたら。。。案外産む気になっちゃったかもしれない。

本作のストーリーや、それぞれの人物の考え方や決断については色々な意見があるだろう。正解も不正解もない。
ある意味現実的な設定で、若者たちの心の描写がとても良くできていたし、みんなの優しさが伝わってきた作品として、観て良かった。
Amazonプライムのオリジナルなので、サブスクしている方は視聴してみてもいいだろう。

主題歌が数エピソードごとに変わり、どれも良かったが、後半に採用されていたこの曲は良かった🎵
(MVは本作とは全く関係ない)


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