韓国BL映画「REC(アール・イー・シー)」
主演:ソン・サムドン、チョ・ヘウン
2011年 66分(日本語字幕あり)
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★☆☆
(写真=GagaOOLalaより)
まず最初に断っておくと、私はその存在すら知らなかったのだが、本作は2000年の有名な韓国の同名のホラー映画とは全くの別物である。
記事を書こうかどうしようか、迷っていたのだが、やはり作品としては面白かったので、視聴記録として残すことにした。
5周年記念のビデオ撮影
付き合って5年になるゲイのカップル、ソン・ヨンジュン(30歳、ソン・サムドン演)とソ・ジュンソク(26歳、チョ・ヘウン演)。ヨンジュンはちょうど出逢った記念日に二人のビデオを撮影しようとジュンソクに提案した。
バスルームに向けてカメラを調整するヨンジュン、二人がシャワーに入るところから撮影が始まるのだが、ジュンソクは嫌々ながらも、ヨンジュンにつきあって撮影を続けることにした。
記念日ということで、誕生日よろしくロウソクを灯したケーキを食べたりしながら、この5年間どうだったか、お互いのどこが好きかなどを語りあっていくが。。。実はこれが二人で過ごす最後の夜となるのであった。
韓国におけるゲイとしての生きづらさ
10年以上前の作品だし、あまり情報が見つからなかったが、なんととても詳しくレビューしてくださっている方がいて、作品制作の背景などについてはこちらを興味深く読ませていただいた↓:
作風になんとなく共通点を感じていたが、上のブログにもあるよう、本作の監督ソ・ジュムンはやはり、イソン・ヒイル監督の元で助監督などを務めていた模様。
ストーリーの大半は二人のイチャイチャシーンから、しっかり”本番”までを描くものだが、ふとした二人の会話の中に、韓国でのゲイとしての生きづらさというものが語られている。
「ビデオ」という言葉を使ったが、本作はモキュメンタリー仕立てで、キャストの二人が自分達でビデオカメラを持って撮影しているものとなる。なので途中で画面が回ったり、逆さになったり、ズームの音がカチ、カチ、と聞こえたりする。
最後にそのビデオカメラが登場するが、録画は全て小さいカセットテープに収められていた(って書いたのも、もしかしたらこのビデオカメラ自体を知らない世代もいるかもしれないと思って)。
10年経った今なら「スマホで動画」だろうが、やはり10年前にはそこまでまだできるものではなかったんだな。撮影のテクノロジーは進化したが、果たしてゲイの生きづらさというのは変わってきているのだろうか。当時の二人は別れるしかなかった。二人での将来が見えないからだ。今はどうなのだろうか。伝統的な価値観というのはまだまだ残っているのかもしれない。
ずっと二人で過ごしている場面はカラーだが、ヨンジュンがホテルを立ち去ったところから場面はモノクロになる。そんな映像の使い方にも、二人の心境が表現されていてとても良かった。
一応「BL」というカテゴリーには入れるが、キュンキュンするイケメンが絡み合うドラマとは違い、かなりリアルにゲイカップルの様子を描き、”本番”もあるので、好みは分かれると思うが、プロットとストーリーはオススメである。
こちらは予告編となっているが、本作へのプロローグのような作りとなっている。