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時間に追われていたワーママの子育て忘備録

公務員をしていた頃、保育園のお迎えが憂鬱な時があった。
当時は時短勤務だったので、16時半頃お迎えに行っていたのだが、そこからなかなか帰れないのだ。
なぜなら子供が園庭で友達と遊ぶから。
私としては早く帰って夕食の支度やらなんやらをしたいのに、みんなが遊んでいるからなかなか帰ろうとしてくれない。
この時間のロスが当時の私にとってはストレスだった。

我が家の子供たちが通っていた保育園は、地域にある唯一の保育園で、その地域の子達は全員その保育園に入園する。
ちなみに幼稚園はその地域にはない。
田舎なので、3歳児になれば名前を書けば入れる感じだ。
都会の保活なんてものは異次元の話で、そもそも選択の余地などない。
だってそこしかないんだもん。
だからか、バタバタと迎えに来てさっさと帰るのは延長保育組だけで、それ以外の人たちには穏やかな時間が流れていた。
だから、少々園庭で遊ばせておいてもママさんたちはイライラしていない。

ママさんたちも子供たちもいい人ばかりだったけど、やらなくちゃいけないことがたくさんあった私は正直さっさと帰りたかった。
最後の方は延長保育組だったから、園庭に友達がおらずさっさと帰れたけれど、それはそれで今度は息子から、
「早く迎えに来てくれたらみんなと外で遊べるのにぃ」
というクレームをいただいた。
自分にとって都合の良いことは、息子にとっては不都合だった。


息子はみんなと同じように過ごしたかったのだと思う。
「友達の家はお父さんかお母さんのどちらかは家にいるのに、なんでうちはふたりとも家にいないの?」
と不満そうだったから。
この言葉は正直グサっと刺さったけれど、ここで謝ってしまうと仕事をしていることが悪いことのようになってしまいそうで、
「うちはお父さんもお母さんも働きに行ってるからなぁ」
と、敢えてあっけらかんと答えた。

だから忙しい日々の中で、寝る前の絵本タイムは貴重な親子の時間として大切にしていた。
「好きな絵本持っておいで」
と言うと、息子はいつも数冊の絵本をローテーションしていた。
選ぶ絵本がいつもワンパターンだったので、成長した息子に、
「なんであの時いつもあの本やったの?好きやったの?」
と尋ねたら、
「長いからたくさん読んでもらえるやろ」
と。
あー。
親との楽しい時間を少しでも長く過ごしたかったんだなぁ、と少し切なくなった。


そして。
息子は高校生になった。
私はフルタイム勤務をやめパートになり、家族のことに時間を割けるようになった。
心に余裕を持って子供たちと向き合えるようになり、私は充実している。
なのに息子は、
「お母さん、仕事辞めてほしくなかったわー。うち、貧乏になるやん。もっと働いてもええよ」
と。
あんなに寂しがってたのにね。


フルタイム勤務だった頃は毎日必死でヘロヘロで、あらゆることがかなりテキトーだった。
「埃で人は死なん」とか言って、掃除サボったり。
「ごめん、しんどいから弁当サボる」と言って、コンビニのおにぎり持たせたり(これは今もか笑)
テキトー母ちゃんだけど、子供たちは思いやりのある子たちに育っていると思うし、親子関係も良い方だと思う。
娘は、様々な愚痴を「ここでしか言えんけど」と言ってぶちまけたり。
息子は、鍛えた筋肉を2日に一度は私に見せて「どう?」と聞いてくる笑


幼い頃に一緒にいる時間が少なくても、時に子供に残酷なことを言われても、愛情を持って接していれば、大きく道を踏み外すことはないんだと思う。
最低限、一本筋さえ通しておけば、テキトーでもまあまあ健全に育つんだと思う。

最上の家庭環境、教育環境は与えられてないけれど、人として善良で自立さえしてくれれば、私的には子育て大成功だ。
自立までまだサポートは必要だけど、誠実な大人になれるよう見守りたいと思う。


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