君たちはどう生きるか
日本の多くの人たちがそうであるように、わたしも宮崎駿作品と共に生きてきた。初めて見たのはたぶん「天空の城ラピュタ」で、中学生だったと思う。その後、「となりのトトロ」は誇張でなく100回は見た。失敗したり嫌なことがあった日に流すトトロは、わたしにとっての精神安定剤だったから。それからも様々な作品に様々な思い出がくっついている。
そんなわたしを知ってるから、夫が「君たちはどう生きるか」を観に行こうと誘ってくれた。夫には悪いが、できれば一人で観たいと思っていた。大勢がよくわからないと言う作品に、一人で向き合いたかった。結果、幸いと言えるのかどうなのかわからないが、夫がいたために、米津玄師の歌が流れたときに号泣せずに済んだ。
別に宮崎駿に共感したわけでも、何か大きな物を理解したわけでもない。
ただ、彼には、人の成長とか、感情とか、生死とか、世の中の仕組みとか、自然の摂理とかが、あんな風に見えているんだなと感じた。
そして、宮崎駿とお別れなんだなと思った。
知り合いは、同じくこの作品を観て感動し、「もう一度観たい」と話していた。わたしは少なくとも、しばらくは観たくない。そして観ていない方に、ぜひ観てねとおすすめもしたくないし、この作品について語り合いたいとも思わない。
ただ死ぬまで自分の中にこの作品と宮崎駿が生き続けるのだろうなと思う。