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カントクのつぶやき

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伊勢真一カントクのつぶやきです。月1で更新しています。 「カントクのつぶやき」がはじまったのは1999年。 ツイッターがはじまるずっと前から、カントクはつぶやいていました。 月に…
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#奈緒ちゃん

「柔和で鈍い光」

2024年 11月  友人の哲学者、鷲田清一さんが、新聞に『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』をしっかり受け止める感想を書いてくれた。  映画『大好き』は、奈緒ちゃんの持つ《柔和で鈍い光》に、奈緒ちゃんの家族や周りの一人ひとりが包まれていくプロセスの記憶をトリトメモナク語りかける物語と言えるかもしれない。   《柔和で鈍い光》は寄り合い、耳を澄ますことで初めて感じとれる「光」なのだと思う…。だから50年の時間が必要だったんだなあ、と今更のように自作を振り返る。  

「本当のこと」

2024年 7月  映画『大好き』は、「育み、育まれる家族のしあわせ」という映画『奈緒ちゃん』(1995年)完成時に思い描いた、こうなってほしい…という私たちスタッフの願望のようなメッセージが、50年の歳月の中で実現して行く物語、と言ってもいいかも知れない。  障がいのある「奈緒ちゃん」を育てることで「奈緒ちゃん」に逆に育てられていく、という家族の物語…。もう少しいえば「家族」を「地域」とか「社会」と言い換えられたらいいのに、という願望だ。    映画の中で「奈緒ちゃん」の

「50年の記憶」

2024年 5月  50年がかりの新作『大好き 〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』が、やっと出来上がった。  それも、完成上映会の二日前に最終の録音作業を終えてゼーゼー息を弾ませながらゴールに駆け込んだような塩梅だ。  よく「伊勢さんは粘り強く時間をかけてドキュメンタリー映画を創りますねえ…」と感心されるけど、実は何事もスローモーで優柔不断な性格が成せる技で、ただただ仕事が遅いだけなんだ…。本当は、完成させたくない、という思いが強いのかもしれない。  本格的にスタッフを組

「いのち」の想い

2024年 4月  桜が咲いて、散って…  毎年のことながら、あっという間だなあ、と地面に落ちた花びらを見る。  散り際がいい、という思い入れで、軍国主義の時代に桜のイメージは利用されたみたいだ…「死んで来い!」ということだ。  桜は、花を咲かせて散っただけ、ただ懸命に「いのち」を生きただけで、その在りようを見て人は、美しいと素直に思っただけのことなのに。  小賢しい奴が、「政治」に都合よく利用したんだな。  昔も今も「政治」は、利用することばかり考えているんだ…。生きと

「記憶」映画作家

2024年 3月 撮影が始まって、今年で42年…。 まさか、こんなに長く撮り続けることになるとは、思ってもいなかった。 障がいのある姉の長女、姪っ子の奈緒ちゃんと家族の普通の日々を、何日間か撮ってまとめようと、ちょっとした思いつきから始まった企画…。「映画」と呼べるほど立派なもんじゃない、ささやかなプライベートムービーのつもりで。 主人公の奈緒ちゃんは「長くは生きられない…」と医者に言われるほど、重いてんかんと知的障がいを併せ持っていたから、せめて、元気なうちにその姿を記

「出逢いと別れ」

2023年 12月  今年も懲りずに映画を観せることに取り組んだ一年だった…。「コロナ」以降、いせフィルムが自ら主催する自主上映が多くなった。自分たちが上映をやり続けることで、自主上映活動を焚き起こそうと考えてのことだ。 けれども、まだまだ客足は戻って来ていない。やればやるほど赤字が増えるばかり、という状況が続いている…。  行けるところまで行くのだ。  自主製作も自主上映もツベコベ考えずに、やるっきゃないのだ! 逆算して人生を考えることが出来るほど利口じゃないのだから。

「やさしさ」

2023年 10月 次回作『大好き~奈緒ちゃんとお母さんの50年~』の製作・上映支援カンパが、少しずつ増えています。額の多少にかかわらず、とてもありがたく、嬉しい。  カンパの額に応じて返礼として、パンフレットやDVDや、DVD-boxを差し上げることにしているのですが、「返礼の品は遠慮します」と言う方や「礼状も郵送料と手間が大変だろうから要りません」と言う方が結構います。名前を公表しないでほしい、と言う方もいる。  要は、見返りを求めているわけではない…ということでしょ

完成しない映画

2023年 9月 7月14日、パリ祭の日に誕生した姪っ子の奈緒ちゃんが50歳に成った…。 障がいを持って生まれ、長くは生きないだろう、と言われた奈緒ちゃんの記録を撮り続けて41年目の夏…。撮影された膨大な映像の編集に取りかかりながら、撮り始めた頃のことを仕切りに思い浮かべる。 最初の構想は、五分間ぐらいのホームムービー。元気な奈緒ちゃんの姿を映像に遺したい…という素朴な発想だった。それにしては、私以外のスタッフは皆プロ中のプロ、と言っていいような、ベテラン揃いだったけど。

「カンパ」

2023年 8月  手術し、退院して、一ヶ月半。ようやくカラダもココロも元気な時の状態に戻りつつある。ちょっと前からお酒も呑めるようになったし…。  このところは、新作『Pascals〜しあわせ のようなもの〜』の各地のミニシアター上映への巡業、仲間達と取り組んできた自主企画の上映、次回作『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』のロケ、と駆けずりまわっている日々だけど、今一番時間をかけているのは、この春から始めた次回作のための応援、支援活動かもしれない。  カンパを募る

奈緒ちゃん「大好き」

2023年 7月  「今、何時? まだ早過ぎる…」  幼い頃、奈緒ちゃんにカメラを向けるとヒトリゴトのように呟いていたコトバ。  もっともっと幼い頃、奈緒ちゃんには重度のてんかんと知的障がいがあり「長くは生きれない」と医者に告げられた、と私の姉である、奈緒ちゃんのお母さんから話を聞いていた。  自分に応援できることは、映画を創ることしかない…と心に決めて、本当にカメラを回し始めたのは奈緒ちゃんが8才の冬。  その頃にはダイブ元気になっていたけど、「長くは生きられない」とい

大好き〜好きなものは好き。

2023年 5月  紫陽花の季節。  日曜画家だった母が好んで描いた花だ。決して上手くはなかったけど。  母を疎ましく思っていた頃には、紫陽花を好きになれなかったけど、この頃は素直にキレイだ、イイナと想うようになった…。  この春は新作『Pascals(パスカルズ)〜しあわせ のようなもの〜』の上映と、次回作『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』の製作資金集めのための上映会に、夢中になって取り組んでいた。  映像の仕事を始めてから50年、いつだって夢中だったから、ずっ

2024春公開予定!次回作『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』製作・上映支援 映画会 vol.1 [4/2日.下北沢ラ・カーニャ]

“奈緒ちゃんシリーズ”第5弾となる次回作 『大好き 〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』 を応援する映画会です。 2023年  4月2 日(日) 13:30〜『奈緒ちゃん』 16:00〜『やさしくなあに 〜奈緒ちゃんと家族の35年〜』 *各回 上映後、伊勢真一 監督と西村信子さん(奈緒ちゃんの母)のトークあり。 [会場]下北沢 ラ・カーニャ(東京都世田谷区北沢2-1-9 第二熊崎ビルB1) [料金] 各回トーク付:2,000円(税込) 一日通し:3,000円(税込) [ご

「しあわせのようなもの」

2023年 2月 1月29日(日)。日比谷図書館のホールで映画生活50年の記念上映会を企画し、150人近い方々が集ってくれた。上映作品は長編処女作『奈緒ちゃん』と最新作『パスカルズ〜しあわせのようなもの〜』。最新作はお披露目上映だったので、ドキドキだった。  感想はいつもながら映画以上に豊かなイメージを語ってくれています。私の映画は作品そのものよりも感想の方が素晴らしい、と口の悪い仲間は言うけど、本当にそうだ。 映画が観た人の心の扉を開けて、イメージを引き出しているんだか