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『東池袋』人生万景
「これあげる」
20代前半。僕は池袋にある飲食店でアルバイトをしていた。そのお店で主任をしていた社員(僕よりも10個くらい年上男性)から手渡されたのはHMVのポイントカードだった。
「いえ、ここの僕も持ってるので、」
「知ってる。それはそれ。俊政(僕の本名)が映画に出るようになったことで全く映画を観てこなかった俺も映画を観るようになったの。趣味ができたお礼。受け取って」
一度、家に遊びに行ったことがある。ビデオ屋ですか? というくらいの量のDVDがあらゆる本棚にびっしりと並べられていた。その中に僕が出演した作品のDVDがまとめて並べられていて僕の出演作コーナーを作ってくれていた。本当にビデオ屋のようだった。
「ポイントちょっとしか入ってないから。ほら」
ぜんぜんちょっとじゃなかった。中身は7万円分の商品と交換できる程のポイントが入っていた。
中のポイントも、通っていたお店ももうないけど。ポイントカードだけは今でも大事に取ってある。