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ビタミンDとガンと

不妊治療を専門にやっている生殖医から聞いたのですが。
「血中ビタミンD濃度と受精率は正の相関がある。しかし、ビタミンDを摂取してもらっても、受精率に変化がない。これは、ビタミンDではなく、ただたんに運動を見ているではないか?」

と、ビタミンDを運動のマーカーととらえていました。屋外の活動は日光に当たるわけで、

「屋外活動=運動=ビタミンD濃度上昇」

となるわけです。

血中ビタミンD。「健康」に良い。って言われる。精神的なことから、感染症まで。癌リスクも低い(大腸がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がんの発生率の低下、および/またはがん死亡率の低下と相関)。

最近では、オブシーボなどPD1阻害剤では、ビタミンD濃度と治療効果が相関することも分かっている。

これらは、ビタミンD経口摂取の健康効果なのか、外で過ごすエクササイズ効果なのだろうか?

そこを調べたのが、以下の報告。

サイエンス誌で「ビタミンDは癌免疫を細菌に依存し、制御する」
Vitamin D regulates microbiome-dependent cancer immunity.Science384,428-437(2024).DOI:10.1126/science.adh7954

ここからわかったことは、ビタミンDの薬理作用で癌が抑制されるのではなく、ビタミンDにより癌免疫を向上させる細菌が増えている。

わお、鼻血が出そうなほど、面白い。


伝統的なヒーラーさんが唱える「あなたの治癒能力が病気を治すのです。私たちは、そのお手伝いをするのです」の細菌バージョンである。ビタミンDが病気を治すのでない、腸内細菌が病気を治すのではない。
治すのは、私たちの免疫システムであり、そのスイッチを入れるのがある種類の細菌であり、その細菌を選別するのがビタミンDという。

論文概略

ビタミンDとがん免疫:ビタミンDの可用性がマウスの腸内細菌叢を変化させ、がん免疫を強化することが示されています。

  • マイクロバイオームの影響:ビタミンDレベルがマイクロバイオーム組成に影響を与え、がん免疫療法の効果を改善します。

  • ヒトでの相関関係:ヒトにおいても、ビタミンDレベルががん抵抗性と相関し、免疫チェックポイント阻害治療への反応が改善されることが関連しています。

  • 臨床応用の可能性:これらの発見は、ビタミンDと免疫システムとの関連性を強調し、がん治療の改善に応用可能です。



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