掻く
空を見上げる小さな鳥がいます。
羽ばたいても、風は彼を遠くへ運ばず、
同じ場所で、ぐるぐると回るだけ。
地面をつつく小さな虫もいます。
せっせと穴を掘っても、穴は深くならず、
同じ景色に、ただ立ち尽くすだけ。
海を渡る小さな舟がいます。
漕いでも漕いでも、岸は近づかず、
同じ波に、いつまでも揺られるだけ。
みな、変わらぬ日々を過ごしています。
変わらぬ中で、変化を胸に秘めて。
小さな引っ掻き傷が少しづつ、
変化の種となるかもしれない。
小さな鳥も、虫も、舟も、
それぞれの場所で、それぞれ動いています。
昨日と今日と明日を繋ぐために、
せっせと、ぐるぐると、いつまでも。
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