見出し画像

2021年冬アニメ総評&ランキング(全22タイトル)


個人の感想にはなりますが、2021年冬アニメの総評をランキング形式で行います。

『五等分の花嫁』や『ゆるキャン△』といった人気続編タイトルが多かった2021年冬ですが、ここ最近1年の中でも豊作と言えるクールだったのではないでしょうか。


【採点方法】
毎話ごとにFilmarks形式で0~5点までの点数を付け、それを全話数で割るという方式です。また、同点の場合は、私個人の采配で「こちらの方が面白かった」と思うタイトルを上位にしております。

それでは、第22位から。




<第20~22位>


第22位 『回復術師のやり直し』  ☆☆☆ 3.17

「テレビ放送Ver. ≒ サンプル動画」

一発目からアダルトアニメで申し訳ございません。テレビ放送Ver.だと規制が入っており、規制の仕方も謎の光どころの騒ぎじゃないので、このアニメを正当に評価するにはやはり≪完全回復Ver.≫を見ないことには始まらないのでしょうね。


第21位 『2.43清陰高校男子バレー部』  ☆☆☆ 3.25

「作画は十分、熱さがもう一つ」

David Productionの作画に何の文句はなかったし、決して腐向けのアニメでもなかったです。よく言えばテンポがいい脚本だけども、そのせいか終盤まで「熱さ」を保つことができなかったように思います。スポーツアニメにはやっぱりスポ根ならではの熱さが必要だと思うけど、ちょっと話の流れが性急すぎたかなと。



<第16~20位>


第20位 『五等分の花嫁 ∬』  ☆☆☆ 3.25

「作画崩壊の汚名返上は大成功」

『五等分の花嫁』第1期と言えば「作画崩壊」でしたが、第2期にそんな心配はありませんでした。キャラクターはもちろんのこと、京都旅行での背景作画を見て、制作陣の気合を感じない人はいないでしょう。ただ、アフレコだけで三玖だと一瞬でわかってしまう「変装」は流石に酷かったですね。



第19位 『のんのんびより のんすとっぷ』 ☆☆☆ 3.33

「とりあえず 作ってみました 第3期」

第1期どころか、第2期にすら遠く及ばなかった第3期。あかねちゃんを主軸に置くのは別にいいけども、結局はれんちょんが話を回さないと『のんのんびより』は面白くならないなと改めて思った次第です。第10話Bパートが第3期を象徴したかのような脚本で、笑えないどころの騒ぎではなく、そこには『のんのんびより』の空気感など1ミリも感じなかった。わざわざウケを狙いにいったような脚本がどんどん悪い方向に転がっていった第3期でした。第4期もあると信じて待ち続けますが、もう一度『のんのんびより』第1期を見返してから作ってほしい...そのように思います。
かろうじて最終回は季節とリンクした脚本だったし、れんちょんの成長を感じることのできる内容だったと思います。



第18位 『転生したらスライムだった件 第2期(前半クール)』
☆☆☆ 3.33

「今や王道。されど間違いなく深夜アニメ。」

今期のタイトルの中で最もスロースターターだったのが転スラでした。序盤の雰囲気は完全に夕方アニメだけども、いざスイッチが入った途端に容赦のない残虐かつ冷酷な描写をぶっこんでくる。決して綺麗事で終わらせないところに深夜アニメならではの雰囲気を感じてしまうから、転スラは切る気にはなれないですね。あとはキャラクターデザインが良いのも人気の秘訣なんでしょうね。



第17位 『はたらく細胞!!』 ☆☆☆ 3.38

「全8話構成は英断。」

細菌やガン細胞が現れ、それを白血球たちが駆除する...やっていることは第1期と同じでしたが、乳酸菌を守ろうとする一般細胞という脚本は唯一新しかったのかもしれない。それを踏まえたとしても、同じ内容や展開で個人的にはすっかり飽きちゃいました。すみません。全8話構成で丁度良かったといえるでしょう。



第16位 『Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season(後半クール)』
☆☆☆ 3.38

「過剰演出と腹パン、そして復調の兆し。」

「もうリゼロはダメなのかもしれない。」── 後半クールが始まり、そのように考えていました。まず、派手な音楽に乗せた演出が過剰で脚本と嚙み合っていなかったように思います。特に、スバルの腹から「見えざる手」が生えた瞬間に、鈴木このみさんのOPが流れたときは腹筋崩壊しました。また、第2期後半クールに登場するのはスバルにオットー、ロズワールやガーフィールといったむさ苦しい男衆ばかりで、結局のところリゼロの中核を担っていたのはレムだったんだなと再認識しましたね。確かにエミリアの登場シーンは多かったものの、エミリアだけではリゼロ第2期に漂う「男臭さ」を消せなかったように思います。終盤に聖域を抜け、ベアトリスやフレデリカが登場した途端に面白くなったから、やっぱり聖域編である第2期はそれ程アニメ化に向いていなかったのかもしれません。


<第11~15位>



第15位 『はたらく細胞BLACK』  ☆☆☆ 3.54

「深夜アニメ調でも、結局は『はたらく細胞』。」

『はたらく細胞!!』(以下「無印版」)との差別化は十分にできていたと思います。序盤の方は。無印版は夕方に放送しても差し支えないような「ホワイト」カラーの作品でしたが、こちらは「ブラック」であり「ピンク」色の強い作風でした。そこが深夜アニメ調で面白かったのですが、細胞が細菌と戦い、死と隣り合わせの中戦っているのは同じだし、何より細胞たちのリアクションは同じです。最終話まで飽きはこなかったのですが、続編を匂わす終わり方をされたときに「まだ続くのか…」と少し思ってしまいました。



第14位『ひぐらしの鳴くころに 業(後半クール)』 ☆☆☆ 3.55

「完全新作というのは『嘘だ!!!』(続編です)」

新作と銘打たれた『ひぐらしの鳴くころに 業』ですが、後半クールに差し掛かったときにはもう初見の視聴者は置いてけぼりでしょう。ディーン版で綺麗に纏まっていたシナリオを掘り返したからか、蛇足感が否めないと思ったのは私だけでしょうか。時間軸のスケールが大きいように見えても、結局は梨花ちゃんと沙都子のイザコザを描いているだけなので、実際シナリオとしてはスケールダウンしていると思いました。何より、圭一やレナ、魅音がいてこその『ひぐらし』なんじゃないでしょうか。



第13位 『怪病医ラムネ』 ☆☆☆ 3.58

「エッジの効いた脚本も、終盤は息切れ気味に。」

心の病が「餃子の耳」「調味料の涙」という怪病として顕現するぶっ飛んだ設定でしたが、そこにエッジの効いた脚本がミックスされ、今期でも異彩を放っていたのが本作だったと思います。後半は展開がパターン化されたことに加え、脚本の刺々しさも薄まってしまったことからこの位置に。



第12位 『弱キャラ友崎くん』 ☆☆☆ 3.64

「×陰キャラがリア充を目指すためにコミュ力を身に着ける話→◎人生において本当にやりたいことを見つける話。」

前半の印象は正直最悪でした。というのも、日南葵というヒロインの性格や立ち振る舞いに難がある。アタファミ(いわゆる「スマブラ」のような格ゲー)で全国1位の友崎が、高校でもカースト上位の日南葵から人生を「ゲーム」として攻略するための指南を受けるのですが、その指南の内容が上辺だけの人間関係を築くものに他ならなかったのです。同じクラスの菊池さんに告白して攻略しろだの、クラスメイトの水沢と仲良くするのにはメリットがあるだのと日南は友崎に指南する訳です。しかし、日南に指南される前から友崎は水沢から友達だと認識されており、そこに日南の浅はかな側面が垣間見えるのです。そして最後には、違和感を覚えた友崎が日南に対して真正面から反論するし、気がつけばカタルシスを得られる良作に仕上がっていました。



第11位 『呪術廻戦(後半クール)』 ☆☆☆ 3.64

「アクションに+αの上手いエピソードがあれば。」

MAPPA制作である以上、アクション作画は間違いなく今期でも最高峰の仕上がり。ただ一つ言いたいのは、もう少しアクションと脚本が上手く絡めばより深みが出たのでは...と思いました。とはいえ、最終回の釘崎はもはや虎杖以上にカッコよかったし、第17話における禪院姉妹の戦闘も因縁が絡んだ脚本に戦闘アクションが乗っかっていたのは良かったと思います。ただ、中途半端な野球回は不要だと思ったし、第16話のパンダとメカ丸の戦闘は流石に笑ってしまいました。




<第5~10位>


第10位 『SK∞ エスケーエイト』 ☆☆☆ 3.73

「スケートボードのアクションは未だ斬新。」

このアニメは、スケートボードのアクションがとにかくカッコいいということに尽きるかと思います。最終話手前にしても、思わずアクション作画だけで見入ってしまうのは流石でした。ただ、レキのメンヘラ回がちょっと長すぎた印象。


第9位 『Dr. STONE  STONE WARS』 ☆☆☆ 3.73

「科学と人の感情を繋げていく脚本は健在だったが...」

科学帝国対武力帝国の構図で始まった第2期ですが、過去の回想を交えて盛り上げようとする姿勢は素晴らしいものだったと思います。ところが、肝心の戦争で盛り上がりを作り切れなかったのは否めないところだと思います。千空と大樹・杠の再会は感動できる部分ですが、千空と司で話を盛り上げようとするのは少し無理があったのでは。全体的に第1期より脚本が苦しそうな印象を受けました。


第8位『ワンダーエッグ・プライオリティ』 ☆☆☆ 3.73

「少女4人が繰り広げる”言葉の応酬”がユニーク」

美麗といって差し支えない作画に、トリッキーな設定を盛り込んだ本作。小難しい作品のように思えるけども、実際のところはそうでもなかったです。特に大戸アイを始めとする主要キャラクターの少女4人の会話内容が萌えアニメのソレではなく、洋画からの影響を感じさせるやり取りでした。バトルシーンで突然TRIGGER風になっていたので、そこはもう少しオリジナリティが欲しかった。アイの決め台詞「トサカに来たぜ!」は印象的。苦手な人は苦手な部類の作品だと思います。


第7位 『怪物事変』 ☆☆☆ 3.83

「ドスの効いたシナリオに、刺さる良質なギャグ。」

キャラデザからは想像できないくらい、エグみのあるシナリオが特徴的でした。特に蜘蛛(アラクネ)の子供である織を巡るエピソードは人道的にも攻めた話だったし、怪物(けもの)だからこそ成立するドスの効いた脚本だったと思います。
そして、本作で外せないのが夏羽と晶の存在です。無機質ともいえる夏羽のキャラクターと、ド天然の晶がギャグとして見事に成立しており、そこに織のツッコミが入ることで「お笑いトリオ」として完成してたのです。深夜アニメで、ここまで正攻法で笑わせてくれたアニメは久々でした。また、シリアスなシーンでギャグを挟んで一呼吸を置く手法は『進撃の巨人』に通ずるものがあるなと思いました。



第6位 『無職転生 ~異世界行ったら本気出す』 ☆☆☆ 3.91

「異世界転生作品の頂へ。」

この作品の語りたい部分は下記の記事で散々語っていますので、ここで多く語るつもりはありません。

主人公・ルーデウスの転生前は34歳のヒキニートであり、そのヒキニートの感情を絡めて話を展開していく様はお見事と言わざるを得ませんでした。作画面や音響面では、今期のトップであることに疑いはないでしょう。作画枚数、いったい何枚使っているんでしょうかね。劇場版レベルといって差し支えない仕上がりでした。
この位置に甘んじた理由は、中盤以降の展開でしょうか。アダルトシーンも少しマンネリ感が否めなかったですし、もう少し転生前と絡めたような脚本が中盤以降にも欲しかったですね。第11話はそういった意味で非常に良かったですし、後半クールにも期待したい作品ですね。



<第4〜5位>


第5位 『ゆるキャン△ SEASON 2』 ☆☆☆☆ 4.00

「きらら出身の大スターは第1期以上の仕上がり。」

ソロキャン一筋だったリンちゃんが、なでしこを始めとする野クルのメンバー+恵那ちゃんとのグルキャンを経て第1期では「悪くない」と思い、第2期では「楽しい」とすら思っている...そんな心境の変化を描くゆるキャン△に死角はありませんでした。グルキャンの中でも、ソロキャン力(?)を発揮するところもリンちゃんのキャラクター性が出ていて微笑ましい部分でしたし、野クルのメンバーや恵那ちゃんの関係がより深まっていくところに、鳥羽先生が言及していたような「成長」を感じる脚本でした。
そして何よりも、作画技術の向上には目を見張るものがありました。一時はトレース疑惑もありましたが、美麗な背景作画には制作陣の意気込みを感じざるを得ませんでしたね。




第4位 『進撃の巨人 The Final Season』 ☆☆☆☆ 4.07

「リアリティ溢れる戦争の狂気。」

Season 3までは立体機動装置によるアクションと巨人や世界の謎が持ち味だった『進撃の巨人』。そこから『進撃の巨人 The Final Season』は大きく舵を切り、テーマ性を変えていきます。それが「戦争」であり、アクションで魅せるというよりは重厚なシナリオで魅せてくる。思想の違いで革命が起き、戦争へと発展していく様はある意味で滑稽であるとも言えるでしょう。テーマ性を変えてもなお『進撃の巨人』らしさを維持しており、未だ人気が衰えないのも頷ける内容ですね。




<第1〜3位>


第3位 『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』☆☆☆☆ 4.08

「涙腺崩壊の大逃げ第4コーナー。」

画像2

3年の延期を経て、ようやく今年の2月にアプリがリリースされたことで話題沸騰中のウマ娘プリティーダービー。Cygamesが作っている以上当然アプリも素晴らしいのですが、これほどまでに競馬にリスペクトを持ち、情熱を持って制作されたソシャゲ原作アニメは唯一無二だと思います。
「競馬にはドラマがある」と競馬ファンは言いますが、競走馬同士の関係を人間ドラマとして分かりやすく描いているからこそ、本作は競馬ファン以外にも愛されるようになったのだと思います。
トウカイテイオーとメジロマックイーンのW主人公で話が展開していく第2期ですが、どちらかといえばライスシャワーとメジロマックイーン、ツインターボとトウカイテイオーの絡みの方が熱かったと思います。
また、当時の実況を完コピしているところにも製作陣の愛情を感じるポイントですね。
第2期は引きの場面でのCGが多少気にはなりましたが、シナリオは第2期の方が断然好みでしたし、今期はウマ娘に4回も泣かされました。オールカマーの第4コーナーは特にね…。
少し物申せば、テイオーとマックイーンの間にもう一押し熱い話が欲しかったですかね。
あと、円盤は買います。



第2位 『BEASTERS(第2期)』☆☆☆☆ 4.17

「圧倒的かつ変態的な表現力は一流アニメの証。」

画像3

食殺事件の犯人探しをするレゴシと、裏社会に首を突っ込んだルイ先輩。本能に抗う動物たちの葛藤を描き続けた本作ですが、その本能は人間でいうところの「欲求(=食欲や性欲)」に近いのでしょうか。このすり替えが変態的と思えるほどセンスに溢れているのが『BEASTERS』。
そして、本能に抗う肉食獣の哀しさ──それを見たルイ先輩が出した結論には感慨深いものがありました。食殺事件の話なので基本的にはシリアスなんですが、動物の設定を上手く使ったコミカルなシーンもありますし、何より一幕一幕にセンス溢れる表現が用いられているのも流石でした。雌チーターが「身体が柄物だから、柄物の服を着れない」という台詞がスッと出てくるセンスはもはや異常だと思います。
最初の方は盛り上がりもなく少し心配していましたが、終盤にきっちり面白い脚本で畳み掛けてくるのは流石でした。
YOASOBIのOP・EDも共に世界観とマッチしていましたね。




第1位 『ホリミヤ』  ☆☆☆☆ 4.25

「冴え渡るセンスと00年代当時の完全再現。」

画像1

今期はビッグタイトルの続編が多い中、『ホリミヤ』は勝るとも劣りませんでした。
作画はClover Worksが得意とするジャンルなので、ここまで完璧なのも頷けます。
脚本に関しても新しいことをやっている訳ではないと思うのですが、男性向けのラブコメでは決してお目にかかれないようなもので、いい意味で「媚びない」ものだったと思います。詳しくは下記記事で。
堀さんと宮村くんの関係は上手く纏まっているんですが、歯がゆい気持ちにさせられる回も多々ありまして。綺麗事で終わらせないところにも青春ならではの甘酸っぱさを感じられる作品でした。

そして、その作画と脚本を後押ししていたのが、各演出と美術設定でした。由紀が動揺する場面でのカメラワーク(「揺れる」想いと重ねている演出)にもこだわりを感じましたし、
00年代後半まで高校でよく見かけた紙パック飲料が登場したときには何とも懐かしい気持ちになりました。

画像4

本当にこの作品、自分の世代がドンピシャなんだなと思いましたよ。他にも紹介したい場面はあるのですが、多すぎて語れないくらいのハイレベルな作品でした。


いいなと思ったら応援しよう!