インサイドセールスと弓道
弓道に、正射必中という言葉がある。
「正しく射れば必ず当たる」という意味で、「的に当てること」ではなく、「正しく射ること」に集中すれば必ず結果が付いてくるという考え方。
元々この言葉が好きなのだけど、インサイドセールスという仕事はまさにこれだ、と痛感している。
たとえば私がはるか昔にしていたテレアポは、竹槍を力ずくで投げまくり、的に当てることだった。
何も考えず、とにかく右手左手で竹槍を投げる。的に当たることもあるが、そのためには大量に外す過程があった。
いま、私たちが取り組んでいるのはインサイドセールス。
マーケティングからリードを受け取り、お客様にコールしてお話を伺い、商談設定までを担う。
本人のやり方次第では、竹槍式になってしまう可能性もある。だが、的に当てよう、アポを取ろうと力むほど、的には当たらない。相手の状況や気持ちを汲む余裕がなくなるからだ。
かと言って射る数が少なければ、精度を高めても的には届かない。風向きのような外的要因も十分に影響するから。そのため数は間違いなく必要だが、だからと言ってひたすら射るだけでは体力を消耗するだけ、ちっとも上手くならない。すごく、難しい。
たまに、めちゃくちゃ調子が良くなってやたらと的に当たる時もあるが、その時にお調子に乗って理由を解明できぬままだと、またすぐに当たらなくなる。
会(弓を引き、狙いを定める)の8秒が待てなくなって、スランプになることもある。弓を射ること自体が怖くなったりする。
ほら、弓道のことを書いているのにインサイドセールスの話みたい。弓道とインサイドセールスはやっぱり似ている。
(めちゃくちゃ偉そうに書いてるが、弓道は中学時代に初段を取ったきりだし、インサイドセールス経験も浅い。間違ってたらごめんなさい。ただ、似てる!と興奮して書いている)
弓道からインサイドセールスのヒントをもらうならば、「型」だろう。トークスプリクトではなく、目の前の「型」に集中する。
・足踏み(立つ位置を決める)
→コールリストの精査
・胴造り(姿勢を整える)
→ホームページ確認などの事前準備、仮説出し
・弓構え(弦に指をかける)
→ 笑声、受付突破
・打起し(弓を持ち上げる)
→記憶喚起
・引分け(弓を引く)
→現状、課題の確認、仮説出し
・会 (狙いを定める)
→興味喚起・提供できる情報の提示
・離れ(矢を放つ)
→アポ日程打診
・残心 (矢を射た後の姿勢)
→詳細ヒアリング、アポ処理、メール送付
型の中で、自分は今どこが足りていないのか、抜け落ちてしまっているのか。どこが足りないから、的に当たらないのかを考えて改善する。
ためしに「会なし」で検索してみたら、会が待てない人の相談がnet上に連なっていた。「胴づくりができていないのでは?」「当てようという気持ちが強すぎるのかも」など指摘と、「会があり、なおかつ的中率もいい人を観察・分析する」という解決策が載っていた。インサイドセールスぽさがある…
感覚ではなく、記録して振り返る。周りに見てもらい、素直に改善する。その積み重ねで、自分だけの、揺るがない美しい型が出来るように思う。
(私たちのチームには、ひとり職人のような人がいて、彼のレコログを聴くとその型の美しさに惚れ惚れする)
仮説を投げかける。
とん、と的に当たる。
「それでしたら、こういった情報をお伝えできたら〇〇様のお役に立てそうですかね?」
「ありがとうございます」
インサイドセールスが目指すべき【的】は、「アポ」じゃない。
お客様からの「ありがとう」や「ぜひ」なのだ。