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「カルチャーフィット」と「スキルフィット」のあわい

「スキルフィット」だけでいいのか?---"個"で生きる社会の働き方

就職先を探すときや、新しくコミュニティに参加するときに「その会社や組織に自分は合っているのか?」(フィットするか)が気になりませんか?

今回はスキルフィットとカルチャーフィットという考え方を共有したいと思います。

  • スキルフィットとは、「その仕事がちゃんとできるかどうか」ということです。たとえば、サッカーチームに新しい選手を入れるとき、「この人はボールを上手に蹴れるか?」「ゴールを決める力があるか?」と考えて選ぶことです。

  • カルチャーフィットは、「その人の考え方や性格が、チームや会社と合っているかどうか」ということです。サッカーチームなら、「みんなで協力するのが好きな人」や「チームのやり方に共感できる人」が向いています。どんなに上手くても、自分勝手にプレーする人はチームに合わないかもしれません。


スキルフィットだけでは不十分なことが多いです。確かに「仕事ができるかどうか(スキルフィット)」は大事ですが、それだけでは組織やチームがうまく機能しないことがあります。無人島で1人で生きるなら別ですが…

経営者の視点で考えると、最近は「カルチャーフィット」を重視する企業が増えているそうです。これは、企業文化に共感できる人を採用しようという考え方です。スキルがあるかどうかより、価値観が合うかどうかを大切にするというものです。確かに、職場の雰囲気や考え方が合う人同士のほうが、摩擦なく働けますし、長く続きやすいでしょう。

しかし、ここで少し立ち止まって考えたいと思います。「カルチャーフィット」だけで採用を決めてしまうと、何か見落としてしまうことはないのでしょうか?

例えば、美容業界において「カルチャーフィット」とは何を指すのでしょうか。美容師の仕事は、スキルや技術が必要なのはもちろんですが、それだけでは成り立ちません。求人を考えたときも同じで接客が好きな人もいれば、技術を極めたい人もいますし、独立志向が強い人もいます。それぞれのスタイルや価値観があるのです。


スキル vs. カルチャー——どちらを重視すべきか?


「スキルフィット」と「カルチャーフィット」、どちらが大切なのでしょうか?

即戦力が欲しい場合は、当然スキルフィットを優先すべきでしょう。すぐに結果を出せる人を求めるのは、ビジネスとして自然な流れです。

一方で、中長期的に見れば「カルチャーフィット」も重要になります。例えば、スタッフ同士が価値観を共有していれば、コミュニケーションがスムーズになり、チームワークが良くなります。人が辞めにくくなるのも、大きなメリットです。

とはいえ、カルチャーフィットばかりを重視すると、多様性が失われるというリスクがあります。

例えば、美容室の採用で「自社の考え方に合う人だけ」を選んでいくと、いつの間にか同じようなタイプの人しか集まらなくなります。これが行き過ぎると、「なんとなく居心地はいいけれど、新しい発想が生まれない」「マンネリ化する」といった問題が起こるかもしれません。

美容業界は、トレンドの変化が激しい世界です。新しい技術や考え方を取り入れ続けなければ、すぐに時代遅れになってしまいます。そう考えると、異なる価値観や経験を持った人も必要ではないでしょうか。

「モノサシ」は誰が決めるのか?

ここで、企業が持つ「モノサシ(基準)」の話になります。

企業は、自分たちの価値観や文化を明確にし、それに共感する人を集める必要があります。これは当然のことです。しかし、そのモノサシが固定化されすぎると、新しいものを受け入れにくくなるというリスクがあります。

例えば、イロトカタチでは「フリーランス美容師」という働き方を推奨しています。それは、美容師がもっと自由に、自分らしく働ける環境を作るためです。しかし、自由には『責任』もセットで付いてきます。自己責任だからと、助け合いの文化が損なわれたり、「独立志向の人しか合わない」という雰囲気になってしまうと、本当に良い環境とは言えません。

人が集まる場所には、ある程度の「共通言語」は必要です。しかし、それだけでは不十分です。むしろ、異なる考え方を持った人が集まり、それぞれのスタイルを尊重し合う場こそが、持続的な成長につながるのではないでしょうか。

これからの「カルチャーフィット」のあり方

では、これからの時代における「カルチャーフィット」とは、どのようにあるべきでしょうか。

一つの考え方として、「動的なカルチャーフィット」があると思います。つまり、企業文化や価値観は固定されたものではなく、そこに関わる人たちによって"常に変化していく"という考え方です。

企業側も、採用の段階で「うちの文化に合うか?」ではなく、「この人が加わることで、うちの文化がどう変わるか?」を考えるべきなのではないでしょうか。

イロトカタチとしても、単に「うちのスタイルに合う人を探す」のではなく、一緒に新しい価値を生み出せる人を求めていきたいと考えています。 それが、これからの多様な社会で個として生きるための、新しい働き方のデザインにつながるはずです。

あなたは、どんな「フィット」を求めますか?

齋藤ナオト

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