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散文【先日みた夢】1105文字
未来では一家に一台は当たり前になる人型ロボット。
家事はもちろん、ちょっとした日曜大工くらいならロボットがやってくれる。
ロボットはレンタルで庶民でも気軽に利用できる料金。さらに無料の定期メンテナンスもついてくる。
心の無いロボットに違和感を覚えるのも最初だけで、いつの間にかなくてはならない存在になる。
最近、そんな未来から招かれざる客、いや、ロボットがやってきた。
職場の健康診断で高血圧やメタボと判定されたぼくのもとへ、三ヶ月の期限付きで特定保健指導ロボットが未来から送られてきたのだ。
居留守を使っても玄関の前で「開けて下さい!!」と大声で叫び、ずっと待っていたので仕方なく迎え入れた。
このロボットは拒否することができず、きてしまうとプライバシーなどあったものではない。
国が庶民の管理を徹底するために、特定保健指導の対象者にはロボットによる慈悲の無い指導をできる法律を作ってしまったのだ。表向きの理由は保健指導だが、本当の理由は、薬や指導用ロボットが生む利権だ。
しかも実績を上げるため暴走した一部の人間たちは、メタボになってからでは遅いと過去にまで指導ロボットを送りこんできた。
ロボットは可愛い女性の容姿をしているが、やることはえげつない。
毎日の体重測定を拒否すると、強引に脇を持って凄い力で高く持ち上げた。
それで体重が分かるらしい。
血圧もぼくの腕を握って測定した。
食べる順番は決まっていて、野菜から食べないと凄い力で腕をつかまれた。
寝る前にラーメンなんて食べようとしようものなら、代わりに白湯をがぶ飲みさせられた。
ご飯は毎日ロボットが炊いてくれる。
おかわりの分はもちろん無い。
ぼくが買い出しに出かけるとロボットもついてきた。
菓子パンやカップ麺を手に取ると、「私をこれ以上怒らせない方がいいですよ」と脅してくる。
以前、ぼくの車を腕力だけでひっくり返そうとしたのを見ているので逆らうのは危険だ。
ロボットの猛威に苦しんでいるのはぼくだけではなかった。
ぼくは同じ被害にあっている人たちと連絡を取り合い、ついにはレジスタンスを結成した。
ぼく今、そのリーダーとなり百人からなるメンバーの前で喋っている。
「奴らは自由を奪おうとしている!! 夜中に食べるラーメンほどうまいものはないというのに!! 奴らはその権利を俺たちから奪い去った!! 病院へ行って毒にしかならない薬をもらえ? ラーメンとご飯を一緒に食べるな? 俺たちを殺す気か!! もう我慢できない。みんな武器を取れ!! 俺たちの手で自由を勝ち取るんだ!!」
「ウオォォォォォーー!!」
レジスタンスの秘密基地となっている地下施設には、いつまでもメンバーの歓声がこだました。
終
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