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140字小説【知らない方が幸せ】

先輩はいつも耳栓をしていた。工場内はうるさく耳栓着用を促す標識がある。でも先輩だけしていた。話しかけられた時と、僕との二人作業の時だけ耳栓を外した。ある日、先輩の退職が決まり、僕にだけ理由を教えてくれた。「耳がいいんだ。周囲の陰口や悪口が全部聞こえる。君からだけは聞こえなかった」

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こし・いたお
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