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140字小説【ねこ画伯】

「ねこ画伯」私はファンからそう呼ばれていた。十数年もの間、描き続けてきた。だがそろそろ引き際かもしれない。私の絵には人気の秘密があった。サインだ。私が絵を描き、あの子がサインした。私が合図すると、肉球を朱肉に押しつけサインした。そうだ、最後の作品は、虹の橋を渡ったあの子を描こう。

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こし・いたお
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